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「ん？大野さん、大丈夫ですか？」
「え…？」
先方の部長さんに振られ、慌てて顔を上げる。
すると一瞬彼と目が合ってしまい咄嗟に反らせた。
「あぁ、大野はたぶん寂しいんですよ。櫻井さんのこと大好きだったしなぁ」
「そんなこと言いましたっけ…」
「言わなくてもわかるぞ。ほら、こないだ音楽イベントの件でお客さんに郵送するチケットデザイン、一緒に考えたでしょ。大野のデザインを櫻井さんが褒めてくれたって車の中で嬉しそうに話してましたよ」
「えっ、そうだったんですか？」
翔くんが反応を見せる。
余計なことを…と思っていたら、今度ははっきりと彼がこちらに視線を向けているのがわかった。
どんなに反らしても、追いかけるようにじっと見つめている。
何なんだろう、と仕方なく目線を合わせると、ニコッと笑って口を開いた。
「大野さんのアイデアには勉強になることがたくさんあって…数えきれないほど助けられました。本当にありがとうございました」
急にお礼の言葉を述べられると、軽く頭を下げられた。
俺はこの会社の担当になってまだ短いが、部長がずっと商談を重ねてきた会社だ。
新人がメインで担当となり、俺が指導係としてバックアップすることになった。
翔くんは取引先の要望に応じるのがすごく得意な人で、特に予算の面とかはかなり都合を利かせてうまくやってくれた。
でも、現場でお客さんと触れ合う機会の多い俺と比べたら、顧客目線で物事を考えるのが苦手なタイプだった。
そこをお互いにカバーして、ここ１年ほどはかなり良い関係を築けていた。
おかげで来期の契約も締結した。
彼の隣に座る、ずっとサポートに回っていた新入社員もなかなかのプレッシャーだろう。
「僕も、いつも無理難題に向き合ってくれて…櫻井さんじゃなかったら実現しなかったこともたくさんありました。本当にありがとうございました」
これは取引先としての心からのお礼。
しかし、頭を上げた瞬間に見えた表情にドキッとした。
翔くんは、切なそうで、苦しそうで、泣きそうだった。
なんで？どうしてそんな悲しい顔をするの？
これが最後、見たいな顔やめてよ。
俺だって我慢してるのに。
最後なら尚更、そんな顔見たくない。
「まあまあ、感動的なのもいいですが、彼が今日から御社の担当なので！それはそれで明るくいきましょう！」
若い社員が飲まされている中、俺たちだけ明らかに違う雰囲気だった。
それ以上、俺は翔くんと目を合わせることはしなかった。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
