透明な君と【Fischer's】 (ページ21)

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にじゅういちページ21

貴「すごい！いちごたくさん！」
いちご狩りってそんなに珍しくないけど

Aさんが喜んでくれてるから
俺はそれだけで満足

ちぎったいちごをAさんの唇に押し当てれば
控えめに口を開いていちごを頬張った

ﾓﾄｷ「どう？美味しい？」
楽しそうに笑うAさんにそう聞けば

貴「美味しい！モトキくんも食べようよ」
いちごがこんなに似合う女性見たことある？

にこにこしながら楽しそうにいちごを食べてる
スマホで写真を撮りまくってるのに

全く気づかないAさんが可愛い
貴「あっ、撮ってた」

恥ずかしそうに顔を隠してしまった
ﾓﾄｷ「いいじゃん、Aさん可愛いから」

黒い綺麗な髪から覗く耳は
赤く染っていて

慣れてないってことに嬉しくなる
貴「…撮ってないで食べてください」

ぷくっと頬をふくらませた
ﾓﾄｷ「あはは、Aさんが言うなら」

仕方なくスマホをしまって
Aさんと美味しそうないちごを探した

貴「ふふ、モトキくん食べ過ぎだよ」
ﾓﾄｷ「元取らないとと思って」

数え切れないほどの
いちごのヘタを並べて

2人して怪しい笑みを浮かべて
けけけけ、っと笑った

ﾓﾄｷ「じゃあ、そろそろ出よっか」
貴「そうだね」

にこっと笑ったAさんと一緒に
ビニールハウスを出て車に乗り込んだ

ﾓﾄｷ「ちょっと早いけど泊まるとこ行こっか？」
貴「うん、モトキくんが選んでくれたの楽しみ」

えへへ、と笑って魅せるAさん
ﾓﾄｷ「ホント可愛い…」

ボソッと呟いた俺の声は
Aさんには届かなかったみたい