じゅうろく ページ16
「いーじゃん!Aちゃんの家泊まらせてよー」
目の前には酔っ払った男性
今日は会社の飲み会で
本当は来たくなかったのに仕方なくという感じで
やっぱり会わなくて終始帰りたいと心で唱えつつ
解散を待っていた
モトキくんが迎えに来てくれるので
それを待っていたら
同じ受付の先輩や同僚にも「イケメン」と評判の
明らかに自分に酔ってるようなタイプの男性に捕まった
貴「無理です…」
男の人は苦手
自分の気持ちも考えないで
グイグイと足を突っ込んでくるから
でも…モトキくんは違ったな…
あの日初めて話した時
去っていく後ろ姿を見て
「どうして男の人と話せたんだろう?」
なんてずっと考えていた
彼を男性だと思っていない、なんてことは一切ないし
本当に不思議で仕方がなかった
でも次に会った時にわかった
すごく優しくて紳士的な人だから
怖い、なんて感じなかったことに
「何考えてんのさ、俺が目の前にいるのにー」
手を腰に回されて体が震えた
怖い、危険、逃げろ
頭では警報が流れるのに体は動かない
貴「やだ…助けて…」
声にならないような声が口から零れた時
モトキ「Aさん?」
後ろから聞こえた声に振り向くと
大好きな人がいた
貴「も…」
名前を呼びそうになって慌てて抑えた
モトキ「だぁれ?この人」
貴「会社の人…」
そっか、ってマスクから出ている
目元だけで笑ったけど
目の奥が笑っていない
「お前は誰だよ」
モトキ「Aさんの彼氏ですけど?Aさん行こ?」
私を引っ張ると手を引いて歩き出した
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作者名:鳴海 帆南 | 作成日時:2020年2月6日 21時