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あれからもう6年経つなんて、時が過ぎるのはほんとに早い。
私は大学4年生になった。
あれよあれよと契約が進んで、気がついたらドラマや映画に出させていただいていて。
目まぐるしい日々だったな。
お仕事の合間に受験勉強をするのは大変だったし、徹夜もしたりして…
自分の受験番号を見つけたときは、嬉しさより安心が勝ったっけ。
お仕事をしながらでも受験に集中できる環境をつくってくれた事務所には感謝しかない。
思い描いていた勉強だけの高校生活とは違ったけど、結果的には志望校に合格できたし、終わりよければすべてよしかな、なんて。
本当に事務所は高校と大学の学費を全額負担してくれた。
お仕事が思っていたより早く軌道に乗って、自分が稼いだお金で払うことができるようになっていたんだけど、社長は絶対に払うと譲らなかった。
恩を着せておけば逃げないとでも思ったのかな笑
確かに最初は大学を卒業したら辞めようと思っていたけれど、今はもうこのお仕事が、お芝居が大好きになったから。
私はもう、自分ではない誰かになれるこのお仕事の虜になっていた。
あの時声を掛けてくれたスカウトさんは、今真剣な顔でハンドルを握っている瀬戸さん。
後から聞いた話だけど、当初は私には違うマネージャーさんが付く予定だったらしい。
そこを無理言って瀬戸さんが担当になったんだって。
そこまで私に期待してくれていたんだね。
◇
瀬戸「もうすぐスタジオ着くから、目覚ましといて〜
今日は顔合わせと台本確認だけだから、日付変わる前には帰れるかな!
相手役の方同い年みたいだし、話が合うといいね、
Aは人見知りで他人に興味ないから心配してるんだぞ〜」
目を開けて、瀬戸さんが渡してくれたコーヒーを口に含んで背筋を伸ばす。コーヒーの苦味が心地良い。
台本を開いて、キャスト欄を確認する。
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『氷見くんの愛は暖かい』
氷見恭介役: 道枝駿佑(なにわ男子)
春川茉白役: 花野A
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相手役はアイドルの方なんだよね、緊張してきた…
アイドルとの共演は普段以上に気を使う。
不用意に2人きりにならないようにしないと、お互いのファンの誤解を生むようなことがあってはいけない。
今回もスキャンダルや炎上がないように!
平穏無事に撮影が終わりますように、と祈りつつ、台本の表紙を閉じた。
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wei(プロフ) - 憂鬱ちゃんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると励みになります!今後はリクエストも募集したいなと思っているので、楽しみにしていてくださいね! (2024年9月23日 10時) (
レス) id: 35b5c99a6e (このIDを非表示/違反報告)
憂鬱ちゃん(プロフ) - とても面白いです!例のシーンの撮影のお話読めるのが楽しみです!これからも更新楽しみにしているので頑張ってください♪ (2024年9月23日 9時) (
レス) @page45 id: b62c2f6570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lilac | 作成日時:2024年9月6日 17時


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