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一通り話を聞いた。
この人は芸能事務所のスカウトらしい。
事務所に所属している俳優さんがこのドラマに出演している縁で、スターの原石がいないかと探しに来たそうだ。
それで私が目に留まったと。
私のどこが良かったのか全くわからないけれど、生憎私には勉強以外にうつつを抜かしている時間はない。
『申し訳ないですけど、私には勉強があるので、芸能活動とかする余裕はないんです。そういったお話は他の生徒にでも…』
スカウト「あなたを見つけた時、本当に衝撃的で、逃したら後悔すると思ったんです。せめて事務所でお話だけでも、その輝きを私たちに活かさせてください！」
簡単に諦めてくれると思ったけれど、食い下がってくる。
人気の少ない廊下に出てきてしまったから止めてくれる人もいない。
どうすればいいのこれ、今までも塾の勧誘とか受けたことはあったけど、ここまで必死なのは初めてだよ…
無理難題でも言えばいいのかな、ほら、かぐや姫みたいに。
そう思って、半ばやけくそで言ってしまったんだ。
『ああもう…そんなに言うなら分かりました。』
スカウトさんが勢いよく顔を上げる。
スカウト「えっそれじゃあ…」
『あなたの事務所が私の大学卒業にかかる費用を負担してくれるというなら、そのお話、前向きに検討しましょう。』
『私は行きたい大学があります。そのために高校受験も頑張った。
けど諸事情で、大学の学費を賄えない可能性があるんです。
私はこのまま努力を重ねたら第一志望校に届くと自負しています。
でも合格したところで、学費が払えなくなったら？
良くて休学、最悪の場合は退学です。それだけは避けたい。』
スカウト「分かりました。すぐに事務所に帰って社長等に確認を取ります。学費を払ったら、スカウト、受けてくださるんですね？」
一人の高校生を芸能人にするためだけに、決して安くはない学費を払う会社などないだろうと高を括って、私は大きく頷いた。
そして翌日、自宅に電話がかかってきて、私は目を剥いた。
事務所の代表に私の写真と提示した条件を見せたら、即決で「払う。なんなら高校の学費も払っていい」と仰ったという。
約束は約束。
約束は絶対に守れ、有言実行だと担任の先生はよく言っている。
親も渋々ながら承諾しようとしていて。
ただエキストラに参加しただけなのに、芸能界への一歩を踏み出すことになってしまった。
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wei(プロフ) - 憂鬱ちゃんさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！今後はリクエストも募集したいなと思っているので、楽しみにしていてくださいね！ (2024年9月23日 10時) (
レス) id: 35b5c99a6e (このIDを非表示/違反報告)
憂鬱ちゃん(プロフ) - とても面白いです！例のシーンの撮影のお話読めるのが楽しみです！これからも更新楽しみにしているので頑張ってください♪ (2024年9月23日 9時) (レス) @page45 id: b62c2f6570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lilac | 作成日時：2024年9月6日 17時
