ピンチと再会 ページ43
花野side
「まっじで!!!可愛いっすね!Aちゃん!実物やばい!連絡先交換してください!」
私の手をがっちり握って、興奮気味にまくし立てる男。
遡ること10分前。
◇
すっかり日が暮れた、大学からの帰り道。
今日はお仕事がないから、少し買い物をして帰ることにした。
気になっていたケーキ屋さんでフルーツタルトを買ってお店を出た時、背後から声をかけられた。
男「あの、花野Aちゃんですよね?ドラマ観てます!」
最初は普通だったから、私も笑顔で対応した。
『ありがとうございます!次回も楽しみにしててくださいね!』
男「あの、道枝くんと付き合ってるんですか?付き合ってないのにあんな距離感で自然な演技出来ないですよね?そうなんですよね?」
『付き合ってなんていません。自然に見えるのは、道枝さんの演技力の賜物ですから。失礼します。』
男「そんな訳ないよ、付き合ってるんだろ?媚び売って!!!」
これはまずいと思ってその場から立ち去ろうとした私の腕を男が掴んだ。
その勢いでタルトの入った箱が落ちる。
グチャ、という音が響いて、じわじわと涙が溜まっていくのが分かった。
男「あんな弱っちそうな男じゃなくて俺にしてくださいよ、ね?行こう。」
『いや、やめて…』
腕を掴む力がどんどん強くなっていく。
周りには私が花野Aだとはバレていないんだろう。
みんなただのナンパだと、見て見ぬ振りをしてる。
男「チッ黙って着いてこいよ!!」
必死に抵抗をする私に痺れを切らしたのか、男は私の腕を掴んでいない方の手を振り上げた。
殴られる。
襲ってくる痛みを覚悟して、目を瞑った。
『あれ…?痛くない…?』
いくら待っても痛みも衝撃も感じなくて、恐る恐る目を開けると、誰かが男の腕を捻りあげていた。
「俺の女に手出してんじゃねぇよ、さっさと失せろ。」
男「ひっごめんなさい…!!」
男は慌てて去っていく。
この声、聞き覚えが…
『海人…くん?』
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wei(プロフ) - 憂鬱ちゃんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると励みになります!今後はリクエストも募集したいなと思っているので、楽しみにしていてくださいね! (2024年9月23日 10時) (
レス) id: 35b5c99a6e (このIDを非表示/違反報告)
憂鬱ちゃん(プロフ) - とても面白いです!例のシーンの撮影のお話読めるのが楽しみです!これからも更新楽しみにしているので頑張ってください♪ (2024年9月23日 9時) (
レス) @page45 id: b62c2f6570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lilac | 作成日時:2024年9月6日 17時


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