恋の初風

クランクイン ページ19

道枝side








初恋の人と再会してから1週間。
撮影が始まる今日が楽しみで仕方なくて、いつも以上に仕事に熱が入った。

メイクやヘアセットを済ませて制服に着替え、いよいよスタジオへ。
まずはポスター撮影をすることになっている。









スタッフ「道枝駿佑さん入られます！」

よろしくお願いします、と挨拶をしながらセットに入ると、すでに制服姿のAちゃんが準備していた。




夢じゃない…





花野「道枝さん、先週ぶりですね。よろしくお願いします！」




『よ、よろしくお願いします！』




俺、ちゃんとかっこよく見えてるやろうか。





◇




カメラ「よし、道枝くんは花野さんの顎クイっとしてみて〜」




う、緊張で指先が震える…
俺は意を決して、彼女の美しい顎に手を添える。




『失礼します…』




花野「ふふ、律儀ですね笑」




『笑わんといてください…』




和やかな雰囲気が流れて、少し緊張が解れた。
Aちゃんの笑顔パワー恐るべしやな。



ていうか俺、ちょっと写真を撮るだけでこんなになってるのに、この先の撮影どうなってまうのやろう。
先が思いやられる。





◇





カメラ「よし、2人とも最高！OKです！」




あれからどちらかと言うとAちゃんリードで撮影が進み。




Aちゃんが目隠しされた俺を押し倒してシーっと人差し指を立てるという、少女漫画らしからぬ少し刺激的なポーズを最後に、無事にポスター撮影は終わった。

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