すのーまんと、わたし (ページ12)

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「歌唱審査はありません。」

……なんと、あると思っていた歌唱審査が無かった。

というのも、

「これから次の審査に移ります。グループを分けますので、呼ばれた方々はこちら側へお越し下さい。」

と、番号と名前が呼ばれていった。

「22番、白雪さん」

「はい」

「60番、黒岩さん」

「はい」

同じグループだね！と目で会話をし、他にも名前を呼ばれた何人かで別室へと移動した。

移動して部屋の扉が閉まったあと、番号の若い順に席につくように言われた。

全員が席についたのを確認すると、冒頭に戻る。

「歌唱審査はありません。」

歌唱審査がない、ということはつまり落ちた……？

と思っていると扉が開き、おじさんが入ってきた。

そのおじさんはみんなが座る机の前に立ち、その名を名乗った。

「はじめまして。ジャニーです」

そう言ったそのおじさんは、私がさっきトイレの場所を聞いた人そのものだった。

目の前に立つジャニーさんに驚きを隠せずにいると、ジャニーさんはゆっくりとみんなの顔を見渡してからこう言った。

「YOUたちを、今日から僕たちの家族に迎えます。おめでとう。これからよろしくね。」

えっ…………

「今日はこのまま契約の手続きに入ります。明日からレッスンに参加していただきますので、よろしくお願いしますね。」

というスタッフさんの声は、私に届いていなかった。

……………え、受かった……ってこと？

家族？家族って何？

とにかく今の状況についていけない私は、

「合格おめでとうございます」

と冒頭に書かれた契約のための説明書類をぼうっと見つめていた。