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Thirty-nine ページ41

Aは窓に手をついて外の様子を眺めていた。窓ガラスは既に元通りに修理されている。
予想通り、あれから記憶細胞がAを訪れることはぱったりとなくなってしまった。
「姉さん、またため息? 」
声をかけられて振り向くと、コピーくんが眉を下げてAを見ていた。
あの事件の後、何の不備もなくコピーくんは装置から出た。
元気に育ってくれればそれで十分だと思っていたAだったが、コピーくんは元気なだけでなく思いやりのあるしっかり者へ成長していた。これは嬉しい想定外だった。
「……私、ため息ついてた? 」
「ええ、思いっきり」
それを聞いてAはまたもやため息をつく。
「幸せが逃げるよ」
「そうね……ってコピーくん、どうしたのその荷物。どこかお出かけ? 」
「姉さん……」
コピーくんの呆れたような表情を見て、Aは今日がコピーくんの独り立ちする日だということを思い出した。
「ごめんね!そっか、今日だったかー。寂しくなるなあ」
「俺も寂しいな」
「まあ、いつでも遊びにおいで!いーい?抗原を見たらすぐ逃げる、ご近所さんに迷惑かけない、あとそれから……」
「姉さん」
ペラペラと喋るAだったが、コピーくんの呼びかけで黙った。
「大丈夫だよ」
ああ、この子も大きくなったんだなあ。
しみじみとそんなことを考えてしまって。
今回のコピーくんに対してAは過保護になりつつあることをちゃんと認識していた。
今までのコピーくんに対しては違ったのかというと、まあ大して変わらないのだが。
でも"私がこの子を守らなきゃ"という気持ちは今までで1番強かったのは確かだ。
またウイルスに襲われることがないように、と。
そのコピーくんがAに大丈夫と言ったのだ。Aは自分の役目が終わったことを悟った。
「俺はもう大丈夫。だから姉さんも、ちゃんと幸せを掴んでよ? 」
それがコピーくんが去り際に放った言葉だった。
Aはコピーくんがいなくなった部屋にボーッと立ち尽くしていたが、何かを決意したように大きく頷いた。

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設定キーワード:はたらく細胞 , 記憶細胞   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:futureblue鏡 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年3月8日 17時

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