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Fifteen ページ16

Aは止まらなかった。それどころかどんどん加速させていく。
泣き声をこらえて、がむしゃらに言葉を生んでいった。
「私がいなかったらこんなことにはならなかったかもしれない。先輩を狂わせた真犯人は私かもしれないんです。だからコピーくんが成長する度、泣いていた先輩の顔がはっきりと思い出せて胸が苦しくなります。私は何のために生まれてきたんでしょう。私なんかいない方がよかったんだって何度も思って、でも仕事を放棄することなんてできなくて。私がいなくたってこの世界は進み続けるのに、私が消えてしまったって何も変わらないのに。私は生きていてはならないのに」
「A、もういいから! 」
記憶細胞はAの顔を上げさせた。
流れた涙でぐちゃぐちゃになってしまったAの顔を、記憶細胞はしっかりと見つめた。
Aはずっとずっとこの暗い感情と共に生きてきたんだと思い知った。
誰にも打ち明けられずに苦しかったはずなのに、笑顔を絶やすことはなかったA。
今の話を聞いて、Aの行動に辻褄が合った。
Aが髪を短くしていることや嬢ちゃんと呼ばれるのを嫌がった理由も。
いつも部屋にいたのは、外出することでウイルスに感染した細胞と鉢合わせてしまうことを避けるためだろう。
嫌いにならないで、と指切りした意味も。
今、Aが今まで貯め込んでいたものが一気に爆発した。
記憶細胞はAの顔をハンカチで拭きながら言った。
「Aは生きていていいんだよ。いない方がよかったなんて、そんなこと言わなくていい。俺はこの世界でAに生きていてほしい」
泣きやんでほしいという思いも込めて伝えた言葉だったのだが、Aはなおさら泣きじゃくった。
さっきのように泣き声を我慢することはもうできなかった。
泣いているAを抱きしめてあげられたなら、そんな風に記憶細胞は考えた。
その資格がないことは記憶細胞が1番よく分かっていたのに。

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設定キーワード:はたらく細胞 , 記憶細胞   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:futureblue鏡 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年3月8日 17時

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