姫と王子 ページ10
満開祭における[お誘い]は、[一緒に踊りませんか]という意味で、相手に少なからず好意があることを示すようなもの。
恋愛だけでなく、友愛や親愛を示す場合もあるけどね、やはり恋愛方面に偏りがちだ。
先程紹介したジンクスもあるし、当然の解釈である。
ここで問題。
「ふふ、驚いたって顔してるね」
『当然でしょう…』
私は生徒会会長で、最強の表の顔モードを武器にここまで来た。
能力は勿論、顔や性格も、難はないと自覚している。人気は得ていると言っていいだろう。
「ほんとに?これでも、今まで頑張ってアプローチしてきたんだけど」
『…悲鳴が凄いんだけど、これ、どうにかしてくれるのよね?』
「あはは、それは難しい任務だ」
そしてこの生徒会副会長。王子様と呼ばれる程のルックス、性格、能力。
ファンクラブまで作られているというからびっくりだ。
学園で十分すぎるほどの人気を誇り、立場的にも2トップを飾る男女。
この2人、どういう目で見られると思う?
『これ、また学内新聞に載るやつだよ…』
「1月号の一面かなぁ」
一番最初は、高3の春。
[花学の高嶺ペア、並び立つ姿はまるで姫と王子!]という見出しと、私の髪に触れる響くんの写真の載った、学内新聞。
『いつもいつも響くんの爆弾投下でこうなってるんだからね』
「でも9月の壁ドンスクープは、Aさんの所為だよ」
『あれは、響くんが転びそうだったから助けただけで』
「まさか壁ドンされる側になるとはね。間近で見たAさんの顔が綺麗で、役得だったけど」
『まーた爆弾発言』
[2人は付き合ってる]とか[副会長が会長に告白した]とか、噂は絶えない。新聞部は私達のスクープを記事にしようと必死である。
無論、否定し続けてはいるが、響くんがこんな感じな所為でほぼ効果がない。
ちなみに、私達が会話している間、周囲は歓声と悲鳴の嵐。廊下から室内を覗く一般生徒まで現れており、軽く地獄。
『…やっぱり新聞部も来てるし…はぁ…』
「ため息なんて、折角の綺麗な顔が台無しだよ?Aさんには笑顔が似合う」
私の頬に手を添えて、響くんは緩く微笑んだ。
嵐が一際大きくなって、私は寮に帰ってゲームをしたい衝動に駆られたのだった。
『(いづみさんの胸に飛び込むってのもいいな…駄目だ、真澄くんと左京さんが怖い)』
時間的に、カンパニーの学生組も学校に着く頃だろうか。
あぁ、私も皆と登校したかった。
『(…万里の顔が見たいなぁ)』
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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時