【A3!】彼女の攻略、ハードモード 2nd【摂津万里】

作戦その1 ページ42

「2人とも、目線こっちー！」


眩しいくらいのライトに照らされ、シャッター音が響き続ける。

隣に立つ天馬くんと、視線が絡んだ。
ともすれば恋人のように写りかねないな。

何か工夫を、と思っていたら、天馬くんが急にカメラに向けてピースした。ニッと笑って楽しげだ。

なるほど。真似させてもらおう。


「あーっいいね！凄くいいよ！親友って感じ！」

「Aちゃん、本当モデル向いてるねー」

「ね、スタイルもいいし度胸もあるし」


はは、やるからには本気なんで。黒幕潰したいんで。

ある程度撮れたところで、休憩だ。

さて。「黒幕はおだまり！敵をガッポガッポなぎ倒せ！作戦」の第一弾、天馬くんとの雑誌撮影である。

シトロン命名の作戦名、長い。


「いやーいい感じだよ2人とも！Aさんが来てくれて助かったな。さんきゅー井川さん」

「お役に立てたようで良かったです！我々としても、今回のお話はありがたいものでしたから」

「天馬くんに一般人の恋人がーって噂でしたっけ？その相手がAちゃん」

「うちの芸能部も気にしてましたよ。取材したい！って」

「ま、うちが取材させてもらうことになって、芸能部に一泡吹かせられたのは気持ちよかったな！」


井川さんとカメラマンやメイクさん達の会話を聞きながら、スタッフが渡してくれたお茶を飲む。

ちなみに、取材は既に終了している。天馬くんが上手く答えてくれた。


『でも、こんなギリギリの撮影でも間に合うもんなんですね。今月って、もう来週発売でしょう』

「モデル側のダブルブッキングで、急にページが空いてね」

「穴埋めに片っ端から声掛けて、受けてくれたのが天馬くんとこだったんだ」


そういう流れか。

だから、
「面倒な噂が立っててかき消したいから、一般人を相手役に撮影してくれ」
なんて無茶なお願いも聞いて貰えたんだな。


「よし、次はAちゃんソロで撮るか」

『了解です』


セッティングが素早く行われて、メイクさんが私の髪型を整えてくれる。

ちなみに、衣装は花がテーマの柔らかいもの。
天馬くんのドラマ、春先放送だからだって。

2月発売の雑誌で、バレンタイン感のない表紙。いいのか。


「そんじゃ、始めようか！」

『お願いします』


軽く何枚か撮られて、仕草や視線を変える。
何気なくスタジオの出入り口を見て、思わず声を出した。


『万里？』

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