MANKAIカンパニーの外堀戦術 ページ29
「…ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
「ありがとうございましたー!」
『あ、ありがとうございました…』
数歩駆け出したところで、3人のところに戻ってお辞儀。周囲からは拍手が湧き上がった。
「たった数分なのに、2時間の映画見てるみたいだった…」
「男の人は皆MANKAIカンパニーの役者でしょ?」
「女の子も良かったよね!役者かな」
「万里って子、実際カンパニーにいるよね。出て欲しかった〜」
掛けられる言葉に感謝を返し、お辞儀をし、数分。漸く周囲から人がいなくなり、私は息を吐いた。
『緊張したー!!!』
お察しの通り、初めてのストリートアクトである。
なぜ私が!?!?終了した今でも疑問だ。なぜ。
「Aちゃん、役者ならない??」
『ヒィ』
「紬、Aの演技が良かったからって引き込もうとするな」
「だが実際、目を見張るものがあったな」
『褒められるのは嬉しいですけど…』
朝ご飯を食べ終え、至さんにお弁当を持たせて会社へ見送り、他の子のお弁当も全て支度して、一息ついていた時。
このストイック組に捕まったのが運の尽きだった。
でもね!!
「今からストリートアクト行くんだけど、Aちゃんも来ない?」
と紬さんに遠慮がちに誘われて、断れる人間がいるか!?いやいない(反語)
という訳で、私はこの演劇の街、天鵞絨で初のストリートアクトを経験したのだ。
「恋愛映画を数分でってテーマだったが…Aが予想以上だったな」
「特に泣く演技と、展開の仕方ですね」
「涙、凄く自然だったね!俺達3人ともフラれて驚いたよ」
『涙は女の武器なので!フッたのは、この3人だと誰選んでも観客の顰蹙買いそうで…ここにいない架空の誰かにしたら、平和かなと』
全員顔が良すぎて、私は自分のセリフ言う時以外息止めてたよ。途中何回か危なかったよ。
「架空にはできなかったけどな」
「左京さん、即座に万里くんの名前出しましたね」
「俺はAが摂津想定して言ってるもんだと思ってたぞ」
『別に万里は想定してませんよ』
「でも、左京さんが言わなくても俺が万里くんって匂わせてたと思う」
「俺は何も言われなくても摂津前提だったな」
『いやあの…もう何なんだ一体…MANKAIカンパニー怖い…外堀か?外堀埋めてんのか?だとしたら私だけ埋めてもダメでしょ…』
ブツブツと呟く私を、丞さんと左京さんは呆れたように、紬さんはニコニコと微笑ましそうに見ていた。
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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時