その28 見つかったのに ページ31
屋上のフェンスに手を被せて、風で冷たい目元を拭いながら、外を眺めていた
もう、涙は出てこなかった
授業なんて、どうでもよかった。バレてもよかった
もう、どうでもよかった
私には関係ないから
「…お？...Aだ！」
『あ、お久しぶり...？っす。月永先輩』
あの日からドブカスからAに呼び方が進化したわたくし小泉
泣いているとこの人との遭遇率が上がるのか
私の声が震えていることに気づいたのか、月永先輩は落ち着いた声色で言った
「...なんか、あったのか」
ちょっと場所が悪かったかな、私、こっから飛ぶみたいじゃん
『あは...死なないよ、私』
「なんだよー！」
笑い混じりでそう言った声はなぜか安心感があって、涙も乾いちゃったから、私は月永先輩の方へ振り返った
「…マジで死ぬかと思ったぁ」
『あぁ、だからうっちゅ〜しなかったんだ』
なんだかんだで気遣いとか出来てるの、ホントに変わってない
吐き気がするくらいに
しかし、彼は非情な人間だった
ずっと待ってたのに
昔話なんてどうでもよくて、私が言いたいのは...なんだっけ
まぁ忘れてしまったことは仕方ない。いつか思い出したらまた言うことにするよ
『そーいや、月永先輩、一時限目いいの？』
私が言えたクチではないけれど
「はぁ？...授業なんか、毎回受けてる奴いんのかよ...てかAもだろ？」
『めんどくさいだけー...一時限目くらいは出ます、留年なんかごめんだし』
それから他愛のない会話をして、私は教室に戻ろうとした
こんなに、楽しかったのは久しぶりかもしれない。まぁ嘘だけど
「...？なぁ、ノート忘れてるぞー...」
ぞくりと背中が震えた
そのまま渡してくれればいいのに、月永先輩はノートを開こうとしていた
見られたくない。もう嫌われたくない
『…待って待って待って...！』
力ずくで月永先輩からノートを奪い取って、鞄の中に押し込んだ
『人の物は勝手に見るもんじゃないですよ！...じゃあ...』
私は先輩の返事も聞かずにその場から逃げるように屋上から出ていった
汗は止まらなかった
今の私におかしいところはなかっただろうか。バレていないだろうか
数少ない女子トイレの中に入って、とりあえず落ち着くために深呼吸をする
鏡に映る自分が今までで一番醜く見えた
私はこんなに、気持ち悪いの...？
汚い
『こんなの、私じゃ...ない』
違う違う違う違う
『私の方が、可愛い......はずなのに』
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あり(プロフ) - 。さん» まじでありがとうございます。修正いたします！ (7月9日 22時) (
レス) id: 464bb8ff7d (このIDを非表示/違反報告)
。 - 20話の敬人の苗字【蓮見】じゃなくて【蓮巳】です (5月7日 11時) (レス) @page22 id: 9c37ed3b41 (このIDを非表示/違反報告)
イキリだした陰キャ - はちみつさん» コメントありがとうございます！伝えたいことが伝わっててすごく嬉しいです…！ただ闇が深い子よりもみんなが抱えてそうな病みをなんとなくでもわかっていただけたら幸いです…！！ (2020年4月27日 17時) (レス) id: 1bb0adca1d (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ(プロフ) - 切なくて泣きそうになるけど所々ギャグがあって面白いです！！更新がんばってください！ (2020年4月3日 0時) (レス) id: 25159701e6 (このIDを非表示/違反報告)
イキリだした陰キャ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただきありがとうございます！更新は早めにできるように努力します…！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 6bf35dac11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありーむ x他2人 | 作成日時：2018年1月14日 13時
