君の望むものはありますか？ (ページ4)

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第三話ページ4

「悪いね、柚ちゃん。いつも手伝ってもらっちゃって」

「いえ、私もお手伝いが出来て嬉しいです。というか、施設的には大丈夫なんですか？」

「その辺はね、融通が利くようにしているから」

柚ちゃんなら安心だし、と言われ「そんなに信頼されてるのかなあ、私」と我ながら思ってしまう。

「そういえば、佳代子ちゃんは随分柚ちゃんに懐いてるね」

佳代子ちゃんとは、この児童養護施設にいる小学生の女の子のことだ。

「夏頃から仲良くなったんです」

「へえ、気付かなかったよ。いつも嬉しそうに君のことを話していたからさ」

目を細めて和やかに私と会話をしている相手は、この施設の運営主であり責任者の八奈見さんだ。30代後半くらいで、この施設内ではお偉いさんなのに自分から進んで子供達の世話をしている。

「…ん？あれは…」

「どうしたんですか？八奈見さん」

「彼らは…友達かい？」

八奈見さんが見た方向には、五、六人の高校生と黒猫がいた。施設の中を見たいのか、キョロキョロしている。

「いえ…知らない子です。学校も違いますし…」

声掛けてきますね、と言って私は入り口に回り、少し怪しげな子達に声を掛けた。

「何か御用ですか？」

すると、眼鏡をかけたリーダー格のような子が前に出てきて口を開いた。

「少し、施設の中を見たくて」

「どうしてですか？分かっているとは思いますが、そんなにホイホイと人に見せれる場所ではないんです」

少し当たりがキツかっただろうか。しかしこれは事実だ。親に暴力を振るわれたことから、すっかり外の人と関わることに怯えている子もいる。