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「ぐうう…何色が良いかな…」
「ドレスの色?」
「うん。せめて色は選ばせてほしい、って言ったらオッケー貰えたの」
「無難なのは黒、かな」
「大人っぽすぎるってミスタに笑われた」
「そんなことないと思うけどな」
フーゴはレティの隣に座り、彼女が睨めっこをしていたカタログを覗き込んだ。
ーーう、髪の毛が少し当たって…くすぐったいな。
高鳴る胸の気持ちの名前を、彼女はまだ知らない。
「もういっそのこと、フーゴがここに来たからパープル・ヘイズから紫にしようかな」
「安直だな」
フーゴはそう言って苦笑したが、内心は違うことを考えていた。
ーー紫だと、アバッキオになってしまうからな。
同じような理由で沢山の色が彼の頭の候補から消えていく。
「そうだ、緑なんてどうだ?」
「緑…かあ。どれが良いかな」
「出来れば明るめの方が良いかもしれませんね。深い色だと少し背伸びしてしまうから…」
フーゴとレティが緑の種類を見ていると、同じ色で目が留まった。新緑のような爽やかさを併せ持った色だ。
「スペアミント」
二人は目が合い、その後余りに出来ていて笑ってしまった。
「じゃあ、会場の中まではフーゴにエスコートを頼もうかな。ブチャラティだと父親に思われるかも」
「その方が良さそうだ」
「じゃあ頼むね」
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作者名:茜 | 作成日時:2019年4月28日 19時