at close range (ページ12)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:44,402 hit

pure knight 1【S】ページ12

.

" ヴゥー、ワンワンワンワンワンワンッッ "

昨今ではあまり見かけない、女児に襲いかかる野良の猛犬。

" Aちゃん大丈夫！！？！ "

" ケンちゃん…… "

" 大丈夫！僕がAちゃんのこと守るから "

都合良く現れるチビナイトに、小枝を少し振り回しただけで尻尾を巻いて逃げていく猛犬。

" 大きくなったら僕とケッコンしてくれる？ "

" うん！！！ "

そうして絡まる、純粋で小さな、二つの小指。

" 約束だよ……… "

はいはいはいはい、

で、紆余曲折ありながらも幼なじみの二人は本当に結婚しましたー、ってやつね。

バカバカしくなって、読んでいた漫画を枕もとに放り投げた。

てか

なんでこの主人公私と同じ名前なのよ！！

しかもケンちゃんって

完全にやられたし

" Aにおススメの漫画持ってきたよー "

芹那め

.

「良かった……、ほんっと良かった…」

グスグスと女々しく鼻をすすりながら、ちょちょ切れる涙を拭う目の前の金髪くるくる頭に盛大に鼻白む。

「その漫画そんな泣くとこあった？」

「ありまくりじゃん、3ページに1回くらいはある」

見せつけられたページに描かれていたのは、いじめっ子に意地悪されて泣いている女児をチビナイトケンちゃんが助けるシーン。

猛犬の次にありがちだ。

「なんかさぁ、色々思い出しちゃうね」

" 健ちゃんをいじめるなー！！！！ "

「それに二人の名前！！見た？もうこれ、俺たちのための漫画じゃん」

" Aちゃん助けてぇ "

「はっ！！まさか作者Aの母ちゃんじゃないよね！？」

" 健ちゃんのことは、Aが守ってあげる！ "

「そうそう、俺たちもこんな風にさ、指切りげんまん、したよね…、、、」

" ねぇAちゃん、大きくなったら僕の… "

バンッッッ！！！！！！

思いっきりテーブルについた手のひらが熱い。

「言っとくけど、まっったく、なんっにも、ただのひとつも合ってないから！！！この勇敢なケンちゃんに失礼だわっ！！」

「だって俺たちだってしたでしょ？ケッコンの約束！」

「はぁぁぁぁ？私が取り付けられたのはねぇ、あんたの養い人になる約束よっ！」

" ねぇAちゃん、大きくなったら僕のこと、やしなってくれる？ "

.