ワスレナグサを君に。【呪術廻戦】

５．廃ビル(1) ページ6

乙骨side




8月中旬

まだまだ暑い日が続いている。


僕は鍛錬の傍ら、時々こうやって任務に駆り出される生活を送っています…




「こんなクソ暑い日に昼間っから廃ビルだなんて、最悪だな」


一緒に任務に出た真希さんはブツブツと文句を言っている。



たしかに僕も溶けそうだ…




「ここは数年前から廃墟と化した雑居ビルです。ここ１年ほどで呪霊が湧き、とうとう解体が決定されたところで死者が出たため、高専に依頼があったと言うわけです」


「なるほどね…溜まりやすそうな場所だな」



そう言って真希さんはビルを見上げる。

僕もつられて見上げた。



「あれ？今…」


「どうした？憂太」


「いや…なんでもないです！」


今誰かがビルの中にいた気がしたけど…気のせいかな。




「それでは帷を降ろ…？！」


「どうした伊地知！！」


「えっ？！」


伊地知さんが帷を降ろそうとした瞬間、すでに帷は降り始めていた。



やばい、そう思ったが時すでに遅し。



「これ、やばいかもな」


真希さんの言葉に唾を飲む。



「ただの呪霊祓いだけじゃなさそうだ」

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