58 ページ8
ある所に、1人の子供がいたそうな。
『え？どうして村に行っちゃいけないの？』
【それはね、貴方が＿＿＿＿だから】
『隠せばいいじゃない』
【無理よ無理無理。元来貴方達は我慢が苦手な気質をしてるじゃない】
『なんであなたにそんなこと言われなきゃいけないの？』
【アンタの母親がそうだったからよ】
『何それ、変な鏡。私に母親なんていないのに』
ああ、と鏡はため息をついた。
机の上には白い宝石がチラホラ転がっている。
子供が花畑にまたいった。
ああ、可哀想なあの子。
未来なんて私じゃなくても見えてるわよ。
鏡達がざわざわと喋り出す。
静かにしてよね、そう真ん中の鏡は呟いた。
いつからこんなふうになったんだっけ。
鏡に刺さったナイフは私たちでは外せない。バラバラに砕けて別れた鏡達はいつの間にか自我なんて大層面倒臭いものが生えた。
『××ちゃん！』
【＿＿＿＿！また来てくれたのね！】
『ええ、あの人たちがうるさいのよ。またお前があーだからこーだからって』
【それって貴方のことを心配してるからよ】
『そうかしら？』
【ええそうよ。いいなあ、今日私お母さんと喧嘩しちゃって……】
『大変ね。私に母親はいないからわかんないけど』
【そうなの？でも私仲直りしたいの。お母さんが好きな木の実もっていったら仲直りできるかなあ】
『わかんない。でもその木の実ってあの赤くて甘いやつでしょ？生えてる場所知ってるわよ私』
【そうなの！おねがい！案内して！】
必死に頼み込む彼女に子供は折れた。
不安要素は与えるだけ面倒だと知っているので近くに盗賊がすんでることは黙った。
まあ、もしバレたとしても
その時は記憶を消しちゃえばいいじゃん。
だから、いつもと変わらず、盗賊のすみかを通り過ぎて赤い木の実の元へ向かう。
『ほら、ついたよ』
後ろを振り向いた時には彼女はいなかった。
その代わりに、どこからか幼い子供の泣き声が聞こえてきた。
今まで隠してきた杖を現して、気づいた時には周りの奴ら全員宝石になってた。
頭から血を流している彼女を除いて。
なんて、脆い。
だったら
だったら、私があなたのことを守ってあげるよ。
嫌な記憶も全部全部赤い宝石にして守ってあげる。
どこからか【ほら見ろ】なんて聞こえるけど知らないわ。
都合のいい存在になって、ずっと見守ろう。
ああ、当たり前だけど
＿＿＿＿逃げるなんて考えないで
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 631人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アイス！ - ええ話やぁぁ、、、もしかして主さん神ですか！？ (2020年10月12日 21時) (
レス) id: 7b09c37ff3 (このIDを非表示/違反報告)
根無し(プロフ) - サンプルさん» サンプル様コメントありがとうございます！最高の褒め言葉です！ (2019年6月10日 0時) (レス) id: 7ed1204e38 (このIDを非表示/違反報告)
サンプル - めちゃくちゃ泣けた(TωT)ｳﾙｳﾙ (2019年6月9日 20時) (レス) id: 37598dd4c5 (このIDを非表示/違反報告)
根無し(プロフ) - 理香さん» 理香様コメントありがとうございます！完結です〜！番外編もどうぞお楽しみください！ (2019年6月9日 18時) (レス) id: 7ed1204e38 (このIDを非表示/違反報告)
草が頭に生えてる人(プロフ) - 完結お疲れさまです！これから番外編も楽しく読ませていただきます！ (2019年6月9日 14時) (レス) id: 63555da9ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：根無し | 作成日時：2019年6月5日 23時
