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「え、柊和が来てたの…？」
「えぇ。でも、Aさんすでにお客さんついてはったから。」
昨日は、店開ける少し前に常連さんがみえてて、そのままずっと相手してた。
普段は、店開いて半刻ほどはお客がつかないことが多いんだけど。
※半刻…１時間
今朝送り届けてから、うめから柊和が来てたこと知らされて悪いことしてしまったなと思っていると、
「でも、毛利さんだけやなくてもう１人みえました。」
「もう１人？」
「初めて見る方でしたけど…。
Aさん今日は会えへんと思います、て伝えたら、寄り道もせんと門から出ていかれたみたいで。２人ともこの街の見物に来た訳やなくて、Aさんに会いたかったんやと思います。」
「そっか…教えてくれてありがとう。
柊和は、またそのうち来てくれるやろ。」
この前言ってた事、ほんとだったんだなと思うと、柊和の社交辞令じゃない所はやっぱり好感が持てる。
今度来た時、なにか柊和の好きな物あげようかな…やっぱり食べ物が喜ぶかな、なんて。
「それよりAさん。明日はお店お休みやないですか？行きたいところあるんです！」
「行きたいところ？それなら同じ禿の春と行ったらええのに。」
「それが、春ちゃん調子悪いみたいで。
Aさんしかおらんのです。お願いします〜！」
そんな風に目をキラキラさせながら言われると断ることも出来ず、
「しょうがないね。で、どこに行きたいん？」
「姉ちゃん、１個どう？べっぴんさんやからまけとくよ？」
そんな声を掛けられながら歩く人混み。
うめの付き添いで花まつりに来たものの、人混みの苦手な私は正直しんどい。
「ちょっとうめ、休ませて」
「あっ！あれや！欲しかったやつ！Aさん、行きましょう！」
「えぇ…あ、待って」
小柄なうめはするするとひとり人混みを駆け抜けて行った。
まあいい、私もちょっと休もう。
と、木の幹にもたれかかって目を閉じた。
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作者名：ゆう
| 作成日時：2017年9月6日 19時
