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「ってことやねん。
なぁ、なんで俺のことは好きになってくれへんのやろ。」
そう言うわりにはそんなに気にしていないような。
「大晴、お前はどんな女が好み？」
あぁ、始まってしまった。
こうなってしまうととことんめんどくさい。
同意した方がいいのかと、「気の強い方が」と答えると、「お前もAのこと狙ってるわけ？」と不機嫌になるし、
私はあなたの好きな方などの眼中にありませんと「女性らしい穏やかな方」と答えても、結局Aさんの魅力を語られて。
今回はなんて答えるべきか…と少し考えて答えられずにいると
「もしかして、お前今まで女と親しくなったことないとか？」
「え…？」
何を言い出すのかと、何も返せず彼の顔を見つめ返していると
「そうかそうか」と肩を組まれ、
「お前、その顔で経験ないとか、ますます興味があるわ。」
なんて、人の話をきちんと聞きもせず勝手に盛り上がるのは、この人、吉岡廉の悪いところだ。
それに、この人は少々度が過ぎる、たらし。
顔がいいところは認めるけど、こんなふうに調子が良すぎるのはどうかと思う。
「廉さん、」
「ん？あぁ、このこと黙っとけって？そんなんわかってるわ、誰にも言わへん。」
「廉さん」
「ん？、他にもあるんか？言っとくけど、俺のかわい子ちゃんには手出すなよ？」
「廉さん！」
「ん？なにまだなんか？」
「廉さんの勘違いです。私のことなどはどうぞご心配なさらないで、…ご自身のこと、お考えになっては？
先日、旦那様から催促がありまして。」
そう言うと、バツが悪そうに目を逸らされる。
「…相手は誰や。」
「隣町の薬問屋の娘です。」
「俺もそろそろ腹くくれ、って？」
そんなこと言いながら薄ら笑みを浮かべているこの人は本当にわかっているのか、いないのか。
「また改めて旦那様から話があると」
「そんなん要らんわ。」
「え？…まさか断る気や」
驚いて彼を見ると、その顔にもう先ほどまでの表情はなかった。
「アホか。その逆。
その娘と祝言あげたるって言うてるんや。」
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作者名：ゆう
| 作成日時：2017年9月6日 19時
