19話 ページ20
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コンコン。
ノック音を響かせれば、ゆっくりと扉が開く。
｢悟、君今何時だと思って＿＿＿＿＿｣
扉から姿を覗かせたスウェット姿の男が、目を大きく見開いて｢…A、｣と小さく呟いた。
｢なんでここに…？｣
｢…………用事があった｣
｢…こんな時間にかい？｣
こんな時間になってまで言うことか、と聞かれるとそんなことはないのだけど。
もう既に時刻は日付を超えている。急用ではないが、思い立ったが吉日と言うし、なにより。
｢お前、私の事避けてたろ｣
びく、と肩を揺らした夏油が目を逸らした。図星か。
まぁそうだよな、あれだけあからさまに避けられて気づかないほど私も鈍感じゃない。
理由だってもう分かってる。
｢…お前からの告白、についてなんだけど、｣
｢……もういいよ｣
｢…は、？｣
遮られた突き放すような言葉に、口から空気が漏れ出た。
口を開けて固まる私を冷たい瞳で見返す夏油が、もう一度｢もう、いい｣と繰り返す。
｢分かってたさ、君が私を好きにならないことなんて｣
何を、言ってるんだ。
｢それでも、君の隣にいる理由が欲しかった。だからあんな馬鹿な提案をしたんだ｣
本当に馬鹿だったよ。
そう自嘲した夏油の表情は1年前のあの時と同じで。
私がこいつをここまで追い詰めた。守りたいとそう思っていた私自身が苦しめた。
そんな事実を突きつけられ、ぐらりと視界が揺れる。
｢どんなに私が君のことを想っても、君は私じゃない男を選ぶんだろ｣
｢ちが、｣
｢だからもういい。私が言ったことは忘れてくれ｣
違う。そうじゃないんだ。お前にそんな顔をさせたい訳じゃないのに。
でも私のその言葉なんてこれっぽっちも届かなくて、｢それとも、やっぱりATMが必要になったのかな｣なんて吐き捨てるように言われてしまう。
ATMなんて、欲しいわけないだろ。
そんなものにならなくたって、私にとってお前は。
｢……じゃあ、そういうことだから。君ももう寝た方がいいよ｣
そのまま目の前で扉が閉まった。
折角気づけたのに。やっと自分の気持ちに気づいたのに、もう遅いって言うのか。
もう、今更私はお前の隣に立つ資格なんてないのか。
『ありがとう。私は君に救われてばかりだ』
『100人に好かれるより、君1人に好かれる方が私は幸せだな』
いや、たとえそうだとしても。
目の前に立ちはだかる、私と夏油を遮る扉。
そこにゆっくり足を掛ける。
｢こんなもんで、私から逃げられると思うなよ｣
大きな音を立てて、扉が吹き飛んだ。
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らぅ(プロフ) - 夢主イケメンすぎwww最高ですwww (8月8日 8時) (
レス) @page23 id: f9b0273b6d (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お友達のイラストもよわよわな夏油もつよつよの主人公も大好きでしたありがとうございました (2022年3月8日 3時) (レス) @page24 id: 3c352c4c7a (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 夢主ちゃんすごいかっこよかった！！これは惚れちゃうね！私も惚れました！ありがとうございます！！ (2022年1月17日 3時) (レス) @page22 id: 7f38ffe42c (このIDを非表示/違反報告)
お茶ん(プロフ) - チョット待って夏油サイコーすぎるWWW 五条に絶対普通に告った後のアピール用に金持ちラブ情報与えたのに、告る時点でのATMはもうネタじゃんWWW わらび餅さんサイコーですWWW (2021年8月30日 22時) (レス) id: f8c5dcff4c (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - あいりさん» あいりさんありがとうございます〜！夏油が惚れるのもわかる！と思っていただけるようなキャラにしたかったので、好きになってもらえてとっても嬉しいです〜！読んでくださってありがとうございました！ (2021年7月22日 20時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらび餅。
| 作成日時：2021年3月6日 17時
