41話 ページ43
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「……また泣いていたのかい？」
「な、んで……？え…、なんで、ここに……？」
どうして。なんで。だってお前は、村人たちを殺して、呪詛師になって。
私は、原作に介入できないんじゃ、ないの？
夏油の角張った指が壊れ物を扱うかのように私の目元に触れる。
柔らかなその温度と少しだけかさついた感触に、また涙がとめどなく溢れてきてしまう。
生きている。夏油傑が、生きて私の隣に居る。
その事実が、どうしようもなく私の胸を震わせて。
「ふふ、今日は随分と泣き虫だね」
「誰の、せいだよ、！」
「私？何かした記憶はないんだけど…｣
困ったように眉を寄せる目の前の男に、思わず笑みがこぼれた。
そりゃそうだ。私が持っている記憶は、今目の前にいるこの男にある記憶とは違うのだから。
それが、私にとっては何よりも幸せなことなんだよ。
「…その女の子たちは？」
「ああ……。この間の任務先で保護したんだ」
深いため息を吐きながら、「まったく反吐が出る猿共だ」と軽蔑した顔をするコイツを見る限り、非術師＝猿の方程式は原作通り完成してしまったらしい。
え、じゃあ尚更どうして？？？
「………よく、助けたな」
「どういう意味？」
「いや、その、お前なら殺しかねないんじゃないかと、思って」
口にした後で、「しまった｣と思った。
もしもその考えに至っていなかったら、私が今この瞬間に非術師を殺すという可能性を与えてしまったことになる。
折角思いとどまった夏油を、また最悪のルートに突き落とす発言だった。
「いや、悪い、今のは＿＿＿」
「殺そうと思ったよ」
にこやかに告げられた彼の心情に、ヒュっ、と喉の奥から空気が抜けた。
「美々子と菜々子は、硝子の所にいっておいで」と優しい声に、2人はゆっくり頷いて走り出す。
この場には、私と夏油の2人きり。
「同じ特級術師の九十九先輩に会ってね。少し話をしたんだ」
私の隣に腰掛けた夏油は、1年前とは違ってぴたりと肩がくっつくくらいの距離にいる。
心の、距離みたい。
「そこで言われたんだよ。『どちらを本音にするのかは君がこれから選択するんだよ』って｣
だから、私は。
｢君を守るために、君の隣に立つために呪術師で居たい。それを本音に選んだんだ｣
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みたらし（元三日月） - 面白かったです！笑える所、ﾋﾔｯとする所…最後にはやっぱり闇落ちしてしまうのかなんて思いましたが、夏油と夢主ちゃんの最後の会話で感動しました…でもやっぱり「最凶」なんだなーと…ｗ夏油推しにはたまらない作品でした！他の作品、これからも応援してます！ (2022年3月17日 15時) (
レス) @page47 id: 122f030fb9 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - さわさん» さわさんコメントありがとうございます！助けられないかもしれない、と思わせてからのどんでん返しをしたかったので、それが伝わってとっても嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります！ (2021年9月6日 8時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - 今更ながらコメント失礼します!夢主が原作は変えられないと気付いた所は本当に辛くて顔が歪んだのですが最後まで読み本当に嬉しくなりました。これからも頑張ってください！ (2021年8月25日 19時) (レス) id: 2994709d1c (このIDを非表示/違反報告)
ﾐﾅこ餅 - 完結おめでとうございます｡この作品は今まで見た中で1番面白いです｡ちゃんと説明もついてますしなにより矛盾してる点などが無いので!これから他作品も見させて頂きたいと思っておりますが、頑張ってくださいね! (2021年5月9日 7時) (レス) id: 5b0fda8cd6 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - なな。さん» ななさん、最後まで読んでくださってありがとうございます〜！！戦闘シーンは大分キツくて何度も心が折れかけたのでそう言っていただけるととっても嬉しいです泣 これからも頑張ります、応援ありがとうございます！！ (2021年3月6日 20時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらび餅。
| 作成日時：2021年2月6日 21時
