検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:31,188 hit

2話 ページ2

うるさい…
うるさいうるさい、うるさい

隣から聞こえてくる訳の分からない声
フィッシャーズ?シルクロード?

何を言ってるのかまるで分からない
貴「最悪…」

昨日の夕方
新しいお隣さんがきた

もうこれで何度目なんだろう?
中学2年の時に心臓の病気と診断されて

2ヶ月前に20歳を迎えた
つまりもうここでの生活は6年にもなる

あの会話の感じ…
明日もきっと来る

…あんな楽しそうな声なんて聞きたくない
声小さくしてもらうように頼もう

ベッドから降りて隣の部屋へと足を運ぶ
扉をノックすると

マサイ「はい?」
少し鼻にかかったような優しい声が返事をした

貴「…隣の小日向です…」
そう告げると

マサイ「あっ、どうぞ入ってください」
扉を横にスライドさせて中に入った

マサイ「お隣さんが来てくれるなんてうれしいです」
希望に満ち溢れたような瞳

イキイキとした声
溢れる笑顔

自分が惨めに思えて目を逸らした
マサイ「えっと…何かようですか?」

戸惑ったような声で聞いてきた
目を合わせないようにと俯いたまま言う

貴「…お見舞いの人の声がうるさくて…声小さくしてくれないかなって…」
出てきた声は思ったより震えていた

マサイ「あっ…すみません、あいつらには言っときます」
申し訳なさそうに謝ってきた

こんな場所に居たくなくて
貴「では…」

逃げるように病室の扉に手をかけると
マサイ「あのっ!」

呼び止められて体が震えた
視線を合わせないように振り向く

マサイ「…えと…下の名前、教えてくれませんか?」
まっすぐ過ぎる声に負けて

貴「A…です」
聞こえるか聞こえないかの小さな声で答えた

マサイ「俺マサイです。Aちゃんは20歳なんだよね…?俺は24歳、よろしくね」
こくりと頷いて今度こそ病室を逃げた

最後に『またね』
なんて聞こえたような気がするけど

よろしくなんてするつもり無いし
また、なんてあるかも分からないくせに

それに…
あんなにキラキラ輝いた人となんて

もう二度と
会いたくないに決まってる

3話→←1話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
63人がお気に入り
設定タグ:Fischer's , マサイ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りん(プロフ) - とても感動しました。本当に素敵な作品でした、これからも応援しています! (2021年7月19日 12時) (レス) id: 455f01eeaa (このIDを非表示/違反報告)
*のの(プロフ) - みかんさん» 分かりました!わざわざコメントありがとうございます! (2020年11月9日 22時) (レス) id: 271830f170 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - これも残して欲しいです! (2020年11月8日 21時) (レス) id: f236b70c3f (このIDを非表示/違反報告)
*のの(プロフ) - @さん» ありがとうございます!違う作品も読んだらぜひコメントください! (2019年9月23日 9時) (レス) id: 139f9ac550 (このIDを非表示/違反報告)
@ - とても感動しました!!こんな素敵な作品を作ってくれてありがとうございました。違う作品も見てみたいです!! (2019年9月22日 22時) (レス) id: 298780871c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鳴海 帆南 | 作成日時:2019年6月6日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。