STORY 33 ページ6
河野の表情が苦痛に歪む。
だって、言えるはずがない。
河野の好きな人から告白をされた、だなんて死んでも言えるわけがない。
もし本当の事を言ったら、河野は今よりももっと苦痛な顔をするだろ？
悲しむだろ？
泣くだろ？
河野の事はどうしても、傷付けさせたくなかった。
「蒼井、なんか言えよ」
『………言えなかった』
「は？」
『悪い、…どうしても言えなかった』
「なんだそれ、…意味分かんねえ」
河野の右手がギュッと拳に変わる。
もしかしたら俺は河野に殴られるのではないかと思い、その作られた拳を見つめながら全身を固まらせた。
「……その程度だったのかよ」
『…え』
「蒼井は俺の事、その程度にしか思ってなかったのかよ」
河野の言う言葉の意味が理解出来なくて、俺は眉を寄せたまま何度も瞬きを繰り返す。
瞬きを繰り返していれば、校内に響き渡るチャイムの音が耳に届いた。
どうやら、1時間目の授業が終わったらしい。
普段なら長く感じる授業の時間も、こうして河野と真剣な話をしていれば、あっという間に過ぎるのだと分かった。
河野は何か言いたげな顔をしていたが、唇を噛んでグッと飲み込む。
そして、作った拳から力を抜けば、溜息混じりに吐き捨てるように言った。
「特別な友達になれたと思ったのに」
そう言った河野の目尻に光る物が一瞬だけ見えた。
河野はそれだけ言い残すと、俺から顔を逸らし、屋上の扉へと歩いて行く。
俺はその場から動く事が出来なかった。
まるで、釘で地面に足を固定されてしまったかのように、ビクとも動く事が出来ない。
河野はきっと、泣いていた。
河野はきっと、傷付いた。
俺が木兎から告白をされて、花火大会に誘われた事を言わなかったから、河野は傷ついていた。
怒っていた。
じゃあ、本当の事を言ったら、お前は怒らなかったのかよ。
本当の事を言ったら、お前は傷つかなかったのかよ。
本当の事を言ったら、俺はお前から「特別な友達だと思っていたのに」なんて言われなかったのかよ。
『なんなんだよ、…なんなんだよ、アイツ』
その場にしゃがみ込んだ俺は、両手で頭を抱えた。
*
その日の部活では、俺と河野は一言も会話をする事は無かった。
会話をする事が無ければ、目を合わせる事も無かった。
しかし、俺はずっと河野の事が気になっていた。
河野の事が気になりすぎて練習は身に入らない。
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磯野(プロフ) - yu-kariさん» こんばんは。コメントありがとうございます。次のHQ小説の内容はまだ決まっていませんが、次回も読んでいただけましたら幸いです。よろしくお願いします。 (2018年10月29日 20時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - 、、、たまらん。(*´∀｀*)ﾎﾟｯ次回作楽しみ( ´Д｀)= (2018年10月29日 13時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 輝咲囚兎/ｷｻｷ ｼｭ-ﾄさん» おはようございます。コメントありがとうございます。最後まで読んで下さいまして誠にありがとうございます。これからも読者様方々におもしろいと思って頂ける作品を作っていこうと思いますので、よろしくお願いします！ (2018年10月29日 7時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
輝咲囚兎/ｷｻｷ ｼｭ-ﾄ(プロフ) - 最初から最後迄本当に楽しかったです！どちらのルートも応援していたのでとても胸がいっぱいです！ホントに素敵な作品をありがとうございます！！ (2018年10月29日 7時) (レス) id: 437cb76d7d (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - おっ、、、あっ、、、。、、、、、ぁぁぁぁあああ！、ぁぁぁぁあああ！最高ぉぉおおおお！最後まで神作ぅぅぅぅぅぅううう！ (2018年10月28日 2時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年10月21日 21時
