STORY 36 ページ15
部活の時に、バレーボールを持ちながら瞼を閉じ、真剣に考えてみた。
俺が心から隣にいたいと思えるのは、木兎なのか、赤葦なのかを真剣に考えた。
答えは、出た。
多分、いや、俺はきっとこの人なんだろうと。
俺が心に決めた人は、この人だ。
でも、本当にこの人で良いのだろうか。
自分の降した答えに不安が過ぎる。
机の上に置いたままのスマホを手に取り、電話帳の中からある人の名前を探した。
指でその人の名前をタップすれば、「リリリリ…」と電子音が鳴り響く。
画面を見つめ、通話時間が表示されては、俺はスマホを耳に当てた。
『藤田』
《んー》
電話をかけた相手は、藤田。
木兎でも、赤葦でも、河野でもなくて、藤田だった。
《なに》
『……俺、決めた』
《………ふうん。で？どっちにすんの？》
『俺が、心から隣にいたいと思えるのは────』
一呼吸を置いてから、震える唇を懸命に動かして、その人の名前を喉奥から引っ張り出した。
その名を聞いた藤田は、電話の向こう側で小さく口元を緩めて笑う。
《だと思った》
『……分かってたのかよ』
《なんとなく》
『本当に良いと思う？間違ってねえよな？』
《間違ってるも何も、お前がその人だって決めたんだろ？なら、間違いねえよ》
ドッドッドッと心拍数が上昇する中、俺はスマホから聞こえる藤田の声に耳を傾けた。
《大丈夫。お前も、その人も、絶対に幸せになれるから》
自信を持つように言う藤田の言葉に、俺は瞼を閉じて口の端を持ち上げた。
藤田が言うのなら、きっと、間違いない。
これで良いんだ。
俺だけじゃなくて、相手も幸せになってくれるんだ。
『明日、河野に言ってくる』
《泣くなよ》
『お前じゃねえんだし泣かねえよ』
《っせえ、ハゲ》
明日、河野に謝ろう。
黙ってて悪かった、と。
自分の本当の気持ちを言わなくてごめん、と。
藤田との通話が終わった俺は、勉強机の明かりを消すと、布団の中に潜り込み、瞼を閉じた。
ーーーーーー
to be continue…
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磯野(プロフ) - yu-kariさん» こんばんは。コメントありがとうございます。次のHQ小説の内容はまだ決まっていませんが、次回も読んでいただけましたら幸いです。よろしくお願いします。 (2018年10月29日 20時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - 、、、たまらん。(*´∀｀*)ﾎﾟｯ次回作楽しみ( ´Д｀)= (2018年10月29日 13時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 輝咲囚兎/ｷｻｷ ｼｭ-ﾄさん» おはようございます。コメントありがとうございます。最後まで読んで下さいまして誠にありがとうございます。これからも読者様方々におもしろいと思って頂ける作品を作っていこうと思いますので、よろしくお願いします！ (2018年10月29日 7時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
輝咲囚兎/ｷｻｷ ｼｭ-ﾄ(プロフ) - 最初から最後迄本当に楽しかったです！どちらのルートも応援していたのでとても胸がいっぱいです！ホントに素敵な作品をありがとうございます！！ (2018年10月29日 7時) (レス) id: 437cb76d7d (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - おっ、、、あっ、、、。、、、、、ぁぁぁぁあああ！、ぁぁぁぁあああ！最高ぉぉおおおお！最後まで神作ぅぅぅぅぅぅううう！ (2018年10月28日 2時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年10月21日 21時
