92. ページ44
.
『…ふっか、何してんの。』
「…わかんない。」
私の首筋に当てられた"ふっかちゃん"。
白いふわふわのぬいぐるみの顔面が、ふっかの手によって私の首筋にグッと押し当てられてる。
グリグリグリグリ
ちょっと痛いくらい強引に。
ふっかちゃんを擦り付けられる。
下唇をちょっと噛んで、目線を私の首筋に向けたまま。
耳にはゲーセン特有の賑やかな音楽が鳴ってる。
『ねぇ、マジで何してんの？』
「わかんない、何してんだろ。俺。」
そう言いながらも彼の手は止まらない。
そのうちなんか私も、理由を教えられないまま一方的にされてるのがムカついてきて。
さっきふっかが取って持たされていたぬいぐるみを袋から引っ張り出して、ふっかの顔に押し当てた。
『…仕返し。』
そう言えば、一瞬キョトンとした顔をした後、ふっかはなぜか大爆笑を始める。
それに釣られるように私もなんだかおかしくなってきて。
ゲーセンの真ん中で、ぬいぐるみを押し付けあって笑ってる私たち。
店の奥から、カップルが私たちに向かって好奇の視線を送ってる。
…いいんです。ほっといてください。
どのくらいそうしていたんだろう。
時間にしたら30秒も経ってないかもしれないけど、
なんか私たちだけの空間みたいな、そんな感じがした。
「あー、笑いすぎて腹痛い。」
ちょっと目に涙を浮かべて、ふっかが私の首筋に押し当てていた"ふっかちゃん"をやっと外す。
「これあげるわ。」
私の肩に置いていた手を離して代わりに私の腕を取ると、彼は私の掌にぬいぐるみを預ける。
「そろそろ帰るかー、」
ぽんぽんと軽く2回。
頭に乗った彼の手の重みが消えていって、
『帰るの？あ、ちょっと待ってよ、』
片手にはさっきまでふっかの顔面に押し付けてた大きいくまのぬいぐるみと、もう一方の手にはふっかちゃん。
そいつらを両脇に抱えて、なんだか機嫌の良くなったふっかの背中を追った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3851人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こゆき(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます！需要ありますか！私も目黒落ち書きたいなーと思ってるので本編終わったら書いてみますね、ありがとうございます！ (2020年4月25日 22時) (
レス) id: 0585c4282d (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 余力があれば！目黒落ちもお願いします★需要あります…！コメント失礼しました。いつも楽しく読ませて頂いてます(^^)これからも楽しませてください (2020年4月25日 1時) (レス) id: 8c58893707 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - うたさん» コメントありがとうございます！ふっか動きましたねー、これからをお楽しみにしていただけたら嬉しいです！ありがとうございます、私のペースで頑張ります！ (2020年4月22日 23時) (レス) id: 0585c4282d (このIDを非表示/違反報告)
うた(プロフ) - コメント失礼します。ふっかさんどうするんだろうって思ってたんですが、動き始めておおお！となっております！！これからもこゆき様のペースで更新がんばってください(^^) (2020年4月21日 18時) (レス) id: ac1778f4fd (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - milkmilkmilk723さん» ふっか、ここからどんどん動きますよー！笑 今後もよろしくお願いします！ (2020年4月21日 16時) (レス) id: 0585c4282d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こゆき
| 作成日時：2020年4月8日 14時
