Wanna be your sweetie.��

75. ページ27

>Abe side.



「あれ、阿部くんじゃん、」


大学のカフェテリアでパソコンを触ってると、ポンポンと肩を叩かれる。

振り返れば、普段は下ろしてる髪を一つにまとめて、俺を見て微笑んでるAちゃんが。


「隣、いい？」
『あぁ、全然いいよ。』

その言葉を聞いて「ありがと、」と彼女が俺の隣の椅子を引く。


「阿部くんもレポート？」
『うん、Aちゃんも？」

聞けばAちゃんは首を縦に振って、「空きコマだからやっちゃおうと思って。」とパソコンを開いた。




それから何分経った頃だろう。ふと画面から顔をあげればパソコンを弄る彼女の横顔が視界に入る。


…あ、眉間に皺寄ってる。苦手なのかな、

パソコン画面と睨めっこしてるAちゃんに思わず笑ってしまう。



俺の小さい笑い声に気づいたのか、彼女の視線が俺に移動して、

その動作にまた、胸の奥がむず痒くなる。

…最近多いな、この感覚。


そんなことを思ってると、彼女が「阿部くんどうしたの？」と不思議そうに俺を見て言った。



『Aちゃんがさ、パソコン見てコロコロ表情変えてるのがなんか面白くて。』
「あー、私パソコン苦手で、」

そんな変な顔してた？ってちょっと恥ずかしそうな顔しながら頰を掻く。




「あー！もう疲れた、」

両手を伸ばして大きく伸びをすると、彼女がふぅとため息をついた。



『ちょっと息抜きしたら？』
「うん、そうする。」

そう言って表情を緩めると、Aちゃんは頬杖をついて俺のパソコンを覗き込む。


「…うわ、何書いてあるか全然わかんない。」
『これは結構ハードな内容だからね。正直俺もちゃんとはわかってないよ、』
「へぇ、」

苦笑いした俺を一瞥して、「阿部くんにもわかんないことあるんだ、」と幼い笑みを浮かべた。




「そういえばさ、せっかく会ったついでだし出かける日、今決めない？」
『あ、そうだね。』

「来週末ならOKなんだっけ？」
『うん、来週は基本的に大丈夫。』


俺の言葉を聞きながら、スマホのカレンダーに目を向ける彼女。

睫毛の落とす影が綺麗だなーなんて思って見てたら、

「じゃあ、来週の日曜は？」

顔を上げたAちゃんの綺麗な瞳と、俺の視線がぶつかる。


『っ、うん。それでいいよ。』

何故だか一回喉の奥に引っ掛かった俺の声。


「おー、じゃあ日曜で。」
『うん。』

楽しみーと口角を上げたAちゃんに、俺も頷いて微笑んだ。



.

76.→←74.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す