守りたい ページ19
恵side
Aさんは幸せになるべき人間だ
その思いは今も昔も変わらない
ただ一つ変わったことと言えば
そこに「恋愛感情があるかないか」だ
「…今は、ある。」
俺は家に帰るとすぐに、傷付いているであろうAさんにメッセージを送る
「そういえば、充電無いんだっけ。」
今頃、帰り道で泣いているんだろうな
そう考えただけで自然と拳に力が入る
「とりあえず、返信待つか。」
待ってる間風呂に入ると、俺はひたすら自分にできることが何かを考えた
「…まあ全部、Aさん次第だけど。」
彼女を慰められるのは俺じゃない
そんなこと分かっている
分かってても、力になりたいと思ってしまうんだ
「全部俺のわがまま…やっぱ間違ってなかった。」
そう呟いて風呂から上がると、お茶を飲みながらスマホを確認した
「…着信履歴、全部Aさん。」
嬉しいような、複雑なような
そう思いながら電話をかけ直す
『あ、恵…連絡ありがとね。』
その声には力がなく、今にも泣き出しそうな程震えていた
「当たり前です、そばにいるって約束しましたから。」
『そっ、か…』
電話越しでも分かる
声を押し殺して泣く彼女にいても立ってもいられなくなった俺は
「今からそっち行きます。」
そう言って電話を切った
その後何度か電話がかかってきたが敢えて出ずに、俺はAさんの家へと向かった
息を切らしながらインターホンを鳴らす
Aさんは何も言わずに俺を玄関へと上げた
「…なんで、来ちゃうかな。」
震えた声でそう言う彼女を無言で抱きしめた
一瞬驚きながらも、俺の腕に手をかける
「恵…ありがとう。でも、だめだよ。また悟に怒られちゃう。」
「…誰ですかその男。もしかしたら俺が今一番殴りたい人物かもしれません。」
わざとらしくそう言うと、Aさんはこの間のように乾いた笑みを零しながら震え出す
「っ…私もう、ダメかもしれない。」
そう言ってついにその場に泣き崩れた彼女の背中を、俺は黙って撫で続けた
しばらくして涙が枯れたようにAさんは眠りについた
「…ゆっくり寝てください。」
そう言いながら寝室へと運び、俺が玄関へと向かおうとすると
急に袖を引っ張られる
「いかない、で。」
寝言だと分かりつつも、ついに動けずそこに座り込む
五条さんのこと、だろうな
そんな虚しい想いに駆られながら
「俺じゃ、だめですか。」
そう呟いて目を瞑った
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ぽゆお - 面白い！ (2021年8月21日 20時) (
レス) id: 1ae4b37a35 (このIDを非表示/違反報告)
菜ノ花桜(プロフ) - 苺ミルク飴さん» 嬉しい感想ありがとうございます！これからも地道に更新続けるので、よろしくお願い致します。 (2021年1月18日 18時) (レス) id: 99ef0c82f2 (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - すごく面白いです！とても好みの作品でした。お体に気をつけ、更新頑張ってください！続きを楽しみにして待っています！ (2021年1月18日 18時) (レス) id: 7e42020719 (このIDを非表示/違反報告)
菜ノ花桜(プロフ) - ぽんさん» ご指摘ありがとうございます。見落としていました、申し訳ありません。 (2021年1月17日 15時) (レス) id: 99ef0c82f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜ノ花桜 | 作成日時：2021年1月17日 15時
