笑えない ページ11
恵side
「んー、そうかもね。」
そう言って乾いた笑みを浮かべるAさん
明らかにおかしい
この喫茶店に入る前になんか切ないとか言ってたし
まあ大方五条さん関連だろうけどな
「なんかあったんですか?五条さんと。」
「え?」
俺がそう言えば目を丸くして驚く彼女
ほらな、やっぱり…五条さんとなんかあったんだ
「恵ってエスパー?」
「エスパーじゃないです。Aさんが分かりやすすぎるんですよ。」
「私ってそんなに分かりやすいのか。」
うなだれながら椅子にもたれるとAさんは再び姿勢を正した
そして
「め、恵に、こんな相談するのも変だと思うんだけどね。実は、昨日初めて…その…悟に抱いてもらったの。」
予想外の発言に俺の頭は一瞬フリーズする
「あ、やっぱりこんな話されても困るよね!ごめん!」
「…いや、少し予想外の発言に驚いただけです。」
そもそも、昨日初めてってまじなのか?
10年近く付き合っておいて?
「Aさんは、それでいいんですか?」
気付けばそんな質問をしていた
「それでいいとは?」
「そんな曖昧な関係でいいのかってことです。10年も付き合ってて昨日初めてそういう行為をするのって、違和感とかないんですか?」
「まあ確かに違和感はあったかな。でも付き合えてれば幸せだったから。」
そう言うAさんの表情はどこか寂しげだった
「…嘘ですね。」
「…なんで?」
「Aさんのことなら分かります。幼馴染なんで。」
俺がそう言うと、Aさんは一瞬驚いた顔をして俯いた
「そっか…やっぱり恵には嘘つけないよね。そうだよ、私ずっと寂しかったの。悟は私のこと好きじゃないのかなって何年もずっと不安だったよ。」
そう言って静かに涙を流すAさんを見て、俺は無性に腹が立った
彼女が寂しがっていることを知っていたはずなのに、何故放ったらかしにしていたのかと
俺がそんなやるせない気持ちを口に出そうとした時、彼女の言葉が遮った
「でもさ、それ以上に好きって気持ちが勝っちゃうの。馬鹿だよね。」
「…それなら、五条さんと一度真剣に話し合うべきです。」
気持ちを押し殺してそう言う
「でも…」
「大丈夫です。何かあっても俺がそばにいます。」
俺がそう言うと、彼女はゆっくりと頷いた
「私、ちゃんと向き合うね。ありがとう恵。」
その日はそこで解散した
それからしばらくして再び
彼女の泣き顔を見るとは知らずに
209人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽゆお - 面白い! (2021年8月21日 20時) (レス) id: 1ae4b37a35 (このIDを非表示/違反報告)
菜ノ花桜(プロフ) - 苺ミルク飴さん» 嬉しい感想ありがとうございます!これからも地道に更新続けるので、よろしくお願い致します。 (2021年1月18日 18時) (レス) id: 99ef0c82f2 (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - すごく面白いです!とても好みの作品でした。お体に気をつけ、更新頑張ってください!続きを楽しみにして待っています! (2021年1月18日 18時) (レス) id: 7e42020719 (このIDを非表示/違反報告)
菜ノ花桜(プロフ) - ぽんさん» ご指摘ありがとうございます。見落としていました、申し訳ありません。 (2021年1月17日 15時) (レス) id: 99ef0c82f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:菜ノ花桜 | 作成日時:2021年1月17日 15時