47:壮絶な過去 ページ49
Aをおぶりながら、帰路をひたすら歩く。
先ほどよりもいくらか顔色がよくなったAは、俺の背中で規則正しい寝息をたてていた。
大切な人…か。
言ってくれんじゃねぇの。いつもあんなに人の告白をクソほど断ってるくせによ。
嫌なら嫌ではっきりしてほしい。なら、俺も諦めがつくかもしれねぇだろ。
いや、それでも諦めねぇかもしれねぇけどな。
すると、声が聞こえた。
「…うぅ…。爆豪…くん？」
Aが発したようだ。
『…んだよ。起きてたんか。』
「…んーん。寝てた。」
まだ寝ぼけた声で、そう答えるA。
『寝てろ。家まで送るから。』
「ごめんね…お言葉に甘えます…。」
寝ぼけているのだろうか。
普段、絶対に人に甘えないAが俺にそう言った。
しばらく両者とも無言で、俺が歩いていた時、不意にAが声を発した。
「爆豪くん。私の話、聞いてよ。」
『あ？』
あまりにも急すぎて、少々驚いている。
話…Aの？
Aはゆっくりと語り始めた。
「私が４歳の時ね、人を殺しちゃったんだ。」
『は？』
はじめから急展開すぎて変な声がでた。
『どういう…』
「まあまあ、最後まで聞いてよ。
その時、大きなスクランブル交差点にいて、何もわからないまま個性を発動させちゃったんだ。すると、車が猛スピードでこっちに向かってきて、一緒にいるお母さんが死んじゃったんだよ。」
語るAの声色は、どこか切なそうだ。
『じゃあ、ヒーローカノンの死因は…』
「事故死…兼、私のせいだね。
…その後、私はお父さんから、個性禁止令が出された。
だから、私の個性使用は、その事故一回で終わらすつもりだったんだよ。」
ヘドロの時使っちゃったけどね。と付け足すA。
っ!!つまり、俺はその事も知らずAを今までからかってきたのかよ!!
「だからね、ヒーローなんか諦めるしかなかったんだ。
殺人を犯したヒーローなんていないでしょ？」
壮大なAの過去に、呆然とする。
『…っ!!AはAだろうが!!諦めてんじゃねぇよ。』
やっとでた言葉がこれだ。
「そう言ってくれると嬉しいよ。優しいね。爆豪くんは。」
そう言うA。
優しいなんて…あるはずねぇだろ!!
言い返そうとすると、再度聞こえ出すAの寝息。
自分だけ言っといて…謝らせるくらいさせろやクソA。
複雑な思いのまま、俺はしっかりとAを家まで送り届けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 848人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すこんぶ(プロフ) - コルシュさん» コメントありがとうございます!!気に入ってくださっているのですね!!嬉しいです!!これからもたくさんの萌えをプレゼントできるように頑張りますね!! (2018年3月29日 0時) (
レス) id: b7f0e1bf89 (このIDを非表示/違反報告)
コルシュ(プロフ) - すごく気に入ってます。これからも頑張ってくださるとこっちもとても嬉しいです。どんどん萌えをください。 (2018年3月28日 18時) (レス) id: ed00f6a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
すこんぶ(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます!!そう言って下さると嬉しいです!!どんどん萌えてって下さいな(( (2018年3月28日 3時) (レス) id: b7f0e1bf89 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - この小説本当にファンです！かっちゃんかっこいいです！ハグするシーンで萌えました！！ (2018年3月27日 4時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
すこんぶ(プロフ) - みるくてぃさん» そーなんか!!あるあるやんな…!! (2018年3月22日 0時) (レス) id: b7f0e1bf89 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すこんぶ | 作成日時：2018年3月11日 22時
