【名探偵コナン】黒ずくめの組織の下っ端

チクれば良かった ページ15

やりたいことがあるわけでも、使命なんて大層なものがあるわけでもない。

ただ、まだ"何も見ていない"。

世界をいくら周っても。

あらゆる国をこの目で見ても。

色んな人に出会っても。


心を揺さぶられる人の激情も。

思わず涙する景色も。


まだ私は、何も見ていないのだ。


｢どうするかな…｣


交渉でもしてみるか…？

いや、私の頭じゃ無理だ。


脅す…？

バーボンを？

返り討ちに合うね。確実に。


殺す…？

はっはっはー。

もっと無理。

警察庁を敵に回す気は1ミクロンもない。


…様子を見るしかない、か。

まぁ、組織に入ってて5年以上も生きれたから仕事に関しては満足なんだけどね。

てか私仕事しかしてないじゃん。

…よし旅行に行こう。

いつになるか分からんけど。


prrr...prrr...


非通知…？


｢…もしもし｣

『…久し振りだな』


…は？

この声は、忘れもしない。

こいつのせいで、散々面倒事に巻き込まれた。

こいつのせいで、…明美が死んだ。


｢…死ね｣

『随分な挨拶だな』

｢友達が殺された原因の人間と電話するほど非道な人間じゃないんで｣

『"非道な人間じゃない"、か。その友達が殺されると聞いても行動しなかったのはどこのどいつだ？』

｢あの時一人で動いてもどっちも殺されるだけだった。だから、私は協力をお願いしたのに！！組織の人間だからって自分の恋人を見殺しにしたのは誰！？｣

『おいおい、あまり感情的になるな。俺だって申し訳ないとは思っている』

｢あ、そう｣


…バーボンに生きてるって言ってしまえば良かった。

失敗したな。

こんなやつのために、演技なんてする必要なかった。


『バーボンがお前に探りを入れたそうだな』

｢なんで知ってんだよ。…元上司が私とあんたに関わりがあったってバーボンに漏らしやがったんだよ。いつバーボンがチクって死ぬか分からないから、殺される準備しとけよ｣

『俺が生きているとバレたわけではない。バーボンがお前を裏切り者だと報告したとしても、死ぬのはお前だけだ、安心しろ』

｢安心出来るかアホ。…はぁ。お前と関わらなければこんなことには…｣

『フッ。今更だな』


あぁ、死ぬのか。

天国で、両親に会えるといいな。


『そこで提案なんだが。…助けてやろうか？』

｢上から目線死ね。…内容だけ聞いておく｣

『FBIで保護してやろう。といっても、保護認証プログラムを上へ推薦することぐらいしか出来ないがな』

意外と仲が…？→←死にたくない

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