【文スト】人間失格の息子と或る番外編【男主】

貴方が生まれた日【4歳編】 ページ13

11月19日。
それは多くの人にとっては何でもない日なのかもしれないが、一部の人間にとってはそうでは無い。

その日はAにとって大事な日。




太「A、起きて」




Aは太宰の声で目を覚ました。
目を開けると見慣れた質素な部屋。




「ん、……ねむい…」




ポートマフィアから逃亡し、この政府の施設で暮らし始めて早1年。
この生活にも大分慣れてきた。




太「ほらほら、起きて。今日は君が主役だよ」




主役？
Aは寝惚けた頭で考えた。主役とは何だと。




太「忘れたのかい？今日は11月19日だよ」




11月19日。
Aは思い出した。その数字が意味する内容を。




「………あ！ぼくのたんじょーび！」


太「やっと思い出したかい？お誕生日おめでとうA」




太宰は愛する息子に一番最初に祝いの言葉を送った。
今日はAの4歳の誕生日。




「うん、4歳になったよ！」


太「そうだね。4歳だ」




Aは布団から飛び出て、ベイリーに朝ご飯をあげ始める。
去年や一昨年とは違い、大きなパーティーなどは無いがそれでもいい。




太「さぁA。早く着替えて。今日は楽しい1日になるよ」




太宰はにっこり笑ってAに告げた。




「ん？でもお外にはでれないよ？」


太「外に出れなくてもこの部屋で小さなパーティーをするんだ。私とA、そしてベイリーの3人でね」


「たのしそう！」


太「でしょう？今日の夜がパーティーの時間だ」




3人だけの小さなパーティー。
楽しみでAはワクワクしながら夜を待った。

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