第26話 ページ26
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当時8歳だった俺の周りの評価といえば
『ばんりくんってりょうくんに似てる！』
の一言に限る。
小学2年生の俺は度々女の子に間違えられるような中性的な顔で、姉ちゃんの影響もあってか割と物腰の柔らかいガキだった。
そのせいか、流行りのドラマの登場人物の一人である少年(多分ホントは女)に似ているとかよくわからない理屈でクラスの奴らにセリフを言えとねだられたこともある。
実際、悪い気はしなかった俺はそこそこやってた。
し、一方的に親近感が湧いていた気もしなくない。
『オレ、りょうに似てるってみんなから言われるんだぜ』
『えー？アンタと涼くんなら涼くんのが可愛い』
『はぁ？！』
本当に一方的に、だ。
姉ちゃんは絶対似てるとは言わなかったし。
今思えば、“涼は女の子”って言ってたのは姉ちゃんくらいだった気がする。
つまるところ、その一方的な親近感は
やがて“憧れ”へと変わった。
強く、真っ直ぐ。
女だとかはどうでもよくて、ただあんな風になりたいと思っていた時期があった。
…まぁ、いつしか俺は屈折してしまったわけだが。
――――『うちの学校に松岡Aちゃんが入学したんだって！』
荒れに荒れた高校2年。
止まっていた時が、動き出したような錯覚だった。
アイツがいる。
あの、涼が、此処に。
久しぶりの気分の良い高揚感。
けど、会おうとかは思わなかった。
もう俺は程遠くなってしまったから。
それからどういうわけか劇団に入り、
それなりに夢を見つけ、
充実感と、息をしている実感。
そんなある日――――その後ろ姿を捉えた。
後ろ姿は、知らなかった。
でも直感で感じた。
ああ、これが――――松岡A。
長くなった髪を揺らし、
形のいい唇が動く。
10年前、憧れたあの少年の面影は無い。
( 何が、男装女優だ…… )
どう見ても、俺が知る中で
1番綺麗な“女”だった。
――――ただ、
「ちょっともっかい言ってくんね？」
「は？やだし」
「俺先輩な」
「え、何？キュンと来ちゃった？やだやだマジになられたら困るんですけどぉー」
「うぜェ…」
何かを誤魔化そうと、
考えないようにしようとする
その諦めにも似た色の目は
かつての俺のそれと同じだ。
「俺が勝ったら言えよ」
「私が買ったら奢りね」
「乗った」
いじらしい顔にも
あの少年は滲まない。
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春野さん(プロフ) - 完結おめでとうございます！タイトルからこんな風に繋がるとは思ってなくて、思わず涙が出ました。本当に素敵な作品だと思います。この作品に惹かれたのがきっかけで天馬最推しになった位(笑)次回作やアナザーストーリー、あれば期待しています、頑張ってください！ (2018年8月31日 10時) (
レス) id: 43b6e8fc40 (このIDを非表示/違反報告)
ゴム手袋(プロフ) - いいところで更新停止ー！！！めちゃくちゃいいとこでー！！！待ってますー！！！！！ (2018年8月7日 10時) (レス) id: 2405ca442d (このIDを非表示/違反報告)
一華 顕音(プロフ) - 狂さん» コメントありがとうございます！嬉しいです…！頑張ります！！ (2017年12月30日 16時) (レス) id: f13dd29270 (このIDを非表示/違反報告)
一華 顕音(プロフ) - Mareさん» コメントありがとうございます！更新できるように頑張りますね！ (2017年12月30日 16時) (レス) id: f13dd29270 (このIDを非表示/違反報告)
狂(プロフ) - とても引き込まれました！頑張ってください！ (2017年12月29日 11時) (レス) id: 4e15e8f7b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一華 顕音 | 作成日時：2017年12月7日 17時
