第19話 ページ19
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――――『俺の相棒は、お前しかいない』
何度も思い出しては、噛み締める。
細く鋭く、優しいその目が私を映したことを思い出す。
あの頃のように名前を呼び合う。
あの頃のように言葉を合わせる。
長く求めていた、その感覚が痛いくらいに胸を刺す。――――同時に、私は自覚する。
その違いを、痛感する。
「私達は子供だったから
真っ直ぐな気持ちで信じていたね
手を繋げる未来を、ただ」
「それ、新曲」
「なんだ、知ってるの」
大好きなアーティストの新曲を口ずさむ。
それを隣で彼は聞いている。
寒空の下、屋上。
マフラーを巻いて、身を寄せ合う。
彼の指に少し触れれば、人より冷たいような気がする。
「……何」
「いや、手ぇ冷たくね？」
「冷え性だから」
「それJKのセリフだと思う」
季節はあっという間に巡る。
時が経つほど縮まる距離と、露骨になるシーン。
少しずつ形になりだしたドラマは、残り半分に差し掛かっている。
――――たくさんの話を聞いた。
舞台のトラウマ
劇団との出会い
夏組のリーダーのこと
旗揚げ公演のこと
夏組の人達のこと
同じ学校のメンバーのこと
優しい人達との出会いから些細なことまで。
楽しそうに話す横顔は、何も変わってなかった。
「碓氷君、サイコストーカーって呼ばれてるんマジ？」
「…だからなんなの」
「いや、キレっキレのネーミングセンスだなと」
「俺は悪くない。監督が可愛いから…変な虫がつかないように見張っとかないと」
「16歳怖いわ」
なんとなく、嬉しかったんだ。
テレビで見る彼はいつも硬い表情をしていたから。
大人びた顔で、自身には溢れてて。
でも、不器用で寂しがり屋なのを必死に隠してて。
遠かった俳優“皇天馬”は、思ったよりもたくさんの事を抱えていて。
彼はちゃんと、――――まだ近くにいて。
「手、………悴んでるんじゃ無いでしょ」
「……うん」
「震えてる」
「…………うん」
だからね、分からなくなるんだ。
「私ね、ダメなんだ」
優しい言葉も
優しく触れる手も
全部。
「男の子と触れ合うの――――無理なんだ」
ずっと欲しかったはずなのに。
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春野さん(プロフ) - 完結おめでとうございます！タイトルからこんな風に繋がるとは思ってなくて、思わず涙が出ました。本当に素敵な作品だと思います。この作品に惹かれたのがきっかけで天馬最推しになった位(笑)次回作やアナザーストーリー、あれば期待しています、頑張ってください！ (2018年8月31日 10時) (
レス) id: 43b6e8fc40 (このIDを非表示/違反報告)
ゴム手袋(プロフ) - いいところで更新停止ー！！！めちゃくちゃいいとこでー！！！待ってますー！！！！！ (2018年8月7日 10時) (レス) id: 2405ca442d (このIDを非表示/違反報告)
一華 顕音(プロフ) - 狂さん» コメントありがとうございます！嬉しいです…！頑張ります！！ (2017年12月30日 16時) (レス) id: f13dd29270 (このIDを非表示/違反報告)
一華 顕音(プロフ) - Mareさん» コメントありがとうございます！更新できるように頑張りますね！ (2017年12月30日 16時) (レス) id: f13dd29270 (このIDを非表示/違反報告)
狂(プロフ) - とても引き込まれました！頑張ってください！ (2017年12月29日 11時) (レス) id: 4e15e8f7b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一華 顕音 | 作成日時：2017年12月7日 17時
