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「あっ、及川さんそこ違います」
「……あ、本当だ、ありがとう小笠原君」
Aが及川のノートを覗いた瞬間、カシャッという音が部屋に響く。
「及川、一年に勉強教えてもらうの図ー」
集中力の切れた花巻が、Aと及川にスマートフォンを向け、シャッターを切った。
「マッキーさ、勉強しよ？」
「いや、なんで俺だけに言うんだよ」
花巻は、教科書の影に隠れようとしているが隠れきれていない国見に目を向ける。
「国見ちゃんは国見ちゃんだから」
「まぁ国見頭いいもんな……」
はぁ、とため息をつき、ノートに向かい合う花巻。
その様子を見ていたAが口を開く。
「花巻さん、どこか分からないところあるんですか？」
「まず俺、数学苦手なんだよな……」
なんでも苦手意識を持ってしまったらダメらしい。現に、花巻は教科書を閉じてしまい、机に伏せている。
「……指数法則ってオレらがやってるところですね」
「……なんなら多分中学の頃に一回やったんじゃない？」
「やっぱ今だけは及川に同意するわ。こいつら可愛くねえ」
目を閉じ始めた花巻を止めながらも、Aはノートをピラピラと捲り、花巻に差し出す。
「どうぞ花巻さん。汚いですけど頑張って理解してください」
「……お前勉強も出来んのかよ」
Aのノートを覗いた松川が、化け物みるようにAをマジマジと見る。
「……小笠原って花巻さんに甘くない？」
「それ俺も思った」
不思議そうにそう呟く国見に、金田一が同意する。
「オレの弟も数学とか苦手だからかな」
なんなら小一の算数からノートは作ってやってますよ。とAが言うと、うわぁ。と言いながら国見はAを見た。
「お、弟想いなんだね」
「普通ですよ」
普通ってなんだっけ。
この場にいた全員がそう思っただろう。
「顔面整ってて、運動神経抜群で、勉強出来て家族想い……なんで彼女いねぇんだお前」
及川でさえいるのに。と、言いたげに岩泉はAに訊く。
「……まあ、はい」
Aは妙に引っかかるような、曖昧な笑いを返し、持ってきたクッキーに、手を伸ばす。
珍しく人の視線を気にしながらも、クッキーをむしゃむしゃと食べ、手を拭いて、また勉強に取り掛かり始めた。
それ以来、Aの彼女の話は、男子バレー部の中で禁句になってしまったのだった。
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抹衣(プロフ) - はましおんさん» コメントありがとうございます！スペースはスマホでは出来なくて……わざわざpcでやっております(笑)小説風になるべくしたくて……。応援ありがとうございます！更新ペースが凄く遅いですが、気長に待ってくれると幸いです(笑) (2019年7月14日 10時) (
レス) id: 4a9e0cfb60 (このIDを非表示/違反報告)
はましおん(プロフ) - すごく面白くて読みやすいです。改行の後の全角スペースもちゃんとやっていてすごいなと思いました。応援してます！ (2019年7月14日 7時) (レス) id: 02bd72d94d (このIDを非表示/違反報告)
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