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☆大江戸 弐 【Silk】 ページ4

そんな時、その男性の後に、二、三人の男性が追いついた。


「絹様。やんちゃは止めていただきたい。」

1人、身長が高く、ほりが深い男性が、笠の端を持ち上げながら言う。

強面の男性は、そちらに振り返って、

「わりぃ、わりぃ。」

と笑った。


その笑顔は、優しくて、ふっと緊張が抜ける。


「絹様が、ご迷惑を。」

ぽっちゃりとした男性が、私の方に頭を下げた。

私は、大福を並べる手を止めて、

「いえ、迷惑は全く。」

と首を振る。

すると、絹様と呼ばれた強面の男性が私を見る。

「こやつに、名前を聞いただけじゃ。」

それに、もう1人のふわふわした雰囲気の男性が、目を丸くした。

「こちらのおなごに?」

私が、ぽかんとしていると、

強面の男性は、

「真幸。」

と、長身の男性に呼びかける。

真幸と呼ばれた男性は、

「絹様は、ここの魚成城の城主であられる。」

と言った。



私がその言葉を理解するのに、数秒。



私がその言葉に驚くのに、数秒。



そして私は、地面に正座して、

「申し訳ございません!そうとは知らず、無礼なことを…。」

と頭を下げる。




私の前に誰かがしゃがみ込む音が聞こえた。



「面を上げよ。」



そして、優しい声が聞こえる。

ぱっと顔を上げると、ほんの数十センチ向こうに、満面の笑顔があった。




「お主を、俺の妻にする。」




それは、私の口から全ての言葉を奪う。

私が何も言えずにいると、彼は笑って、

「俺は、絹道と言う。」

と手を差し伸べた。



「お主、名は何という?」



そして、また、少年のように微笑む。

「…私は、Aと申します。」

私はその手を取った。

するとそのまま、ぐっと引かれる。

勢いよく立ち上がった私は、そのまま彼の胸に抱かれた。



「会いたかった。」



耳元で呟かれる。

私の頬は、急速に熱を持った。

何が何だかわからないままに、私はただ、彼の胸板に頬をくっつけるしかできない。


確かに、絹道様の心臓が速く波打っているのが分かる。


それに合わせるかの様に、私の胸も高鳴った。

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バニレ - え、とにかく全部最高なんですが……//// (2019年8月14日 19時) (レス) id: a982cf7980 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - ひよさん» コメント、ありがとうございます!! ほのぼのと、ふわふわと読める感じのを目指しております! これからも頑張りますね!! (2018年1月14日 19時) (レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
ひよ - ほのぼのしますね(о´∀`о)これからも頑張って下さい! (2018年1月9日 17時) (レス) id: 9013a0ca57 (このIDを非表示/違反報告)
sena_earlybirs(プロフ) - ありがとうございます!wakameさんの描くお話が本当に好きなので、楽しみにしてます! (2017年8月4日 10時) (レス) id: 165c468189 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - sena_earlybirsさん» なので、またチェックしてみて下さいね!! (2017年8月2日 23時) (レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:wakame | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年5月28日 21時

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