ちゃんと ページ41
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お休み明け。
メッセージでも伝えてたけど、ユヨンさんに改めてお礼を伝えた。
また飲みに行こうね
言ってくれたのに
次はほどほどにします
首をすくめる私に笑ったあと、ユヨンさんが真剣な表情になる。
「…どうやって帰ったか覚えてる?」
「……ウォヌさんに…あ、ユヨンさんに私を送るように言われたって…」
「うん。最初はそんなつもりなかったんだけど…」
「え?」
「Aちゃん、私が見つけた塩顔を見て、ウォヌさんって言うから、お巡りさーんって試しに呼んでみたの。そしたら、二人とも振り返ってきて、すぐに分かった。この塩顔がネコ警官だって。」
目の前を通るお客様に二人で会釈。
誰もいなくなると、ユヨンさんが続ける。
「文句言ってやろうと思って、Aちゃんを一旦ベンチに寝かして、二人の元に向かったの。…でも、すぐに言えなくなった。」
「…どうして?」
「彼がAちゃんのとこに行ったから。風邪引くって思ったんだろうね。Aちゃんのコートのボタンとめ始めたのを見て…何も言えなくなっちゃった。」
胸がぎゅっとなる。
…ボタン、自分でとめたんじゃなかったんだ。
「…それで、Aちゃんのこと送ってってお願いしたの。この人なら…ちゃんと送り届けてくれると思って。」
「…そう、だったんですね。」
「二人がね帰っていったあと、もうひとりの人とちょっとだけ話したの。確か…」
「…スニョンさん?」
「ああ!そんな名前だったかな。…前に、Aちゃんと会ったことあるって言ってて。」
深夜に酔っ払ったスニョンさんが訪ねてきたこと
おすそわけしにいったら謝られたことを思い出す。
「そのとき、彼がAちゃんに気を許してるのが伝わってきて、すごく嬉しかったって。…しばらくそういう彼を見てなかったみたい。」
"ウォヌや、良かったなあ"
…あれは、そういうことだったんだ。
「…ちゃんと好きだと思うよ、Aちゃんのこと。」
抱きしめられたときのことを思い出す。
あの日だけを切り取れば、そう思えるのに。
じゃあ、なんで付き合えないんですか?
ユヨンさんに聞きたかったけど、鳴り響いた受付の電話がそうさせてくれなくて、結局聞かずに終わった。
仕事から帰ってきて、自然と足を止めたのは、ウォヌさんの部屋の前。
"ちゃんと好きだと思うよ、Aちゃんのこと"
わざわざインターホン鳴らして
ホントは私のこと好きなんですか?
なんで私のこと抱きしめたんですか?
…なんて聞けない。
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作者名:余暇
| 作成日時:2024年9月7日 0時


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