私のこと ページ33
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"ん、ぜひ"
言葉どおり、またお家ご飯に誘ったら来てくれた。
大丈夫ですって断ったのに、食材費出してくれた。
「お、Switchだ。」
二人で食器を片づけたあと、のんびりしてたら、テレビ台にずっと置きっぱなしにしてたゲーム機に気づいたウォヌさん。
「やるの?ゲーム。」
「ちょっとだけ。でもつまづいちゃってやめました。」
「つまづくって何に?」
「ファミコンのマリオ。ステージ難しくて。ウォヌさん、ゲームされるんですか?」
「んーする。これ、やっていい?」
「どうぞ、どうぞ。」
ウォヌさんがゲームをやり始めたのを隣で覗き込む。
わ、すごい
あっという間にクリアしちゃった。
「クリアしたよ。」
「すごーい、ありがとうございます。」
「Aさん、次やってみて。」
渡されたゲーム機。
やり始めたけど、次のステージも難しくて
わあ、ひゃあ
声出しながらゲームと格闘してる私が面白かったのか、隣でずっと笑ってるの。
結局、そこ落ちないだろ!みたいなとこで、穴に落ちちゃって、マリオを死なせちゃった瞬間、はははって笑いながら
「かわいい。」
呟いたウォヌさんは、言われた私の気持ちなんて知らずに
貸して
またゲームやり始めちゃって。
…もお。
「あれ?ウォヌさん、眼鏡変えました?」
3回目のお家ご飯に誘ったとき、彼の眼鏡がいつもの黒縁じゃないことに気づく。
「ん、壊れた。修理に出してて、今は代用の使ってる。でも微妙にサイズが合ってない。」
ご飯を食べ終え、いつものように食器を洗ってくれてるウォヌさん。
隣で私も渡されたお皿を拭いてた。
ふいに彼からの視線を感じて、お皿を拭く手を止めて顔を向けた瞬間、眼鏡がずり落ちてるのに笑っちゃう。
「ふふ、ホントに合ってないんですね。」
「ん、外せば良かった。」
泡だらけのウォヌさんの手。
「外しましょうか?」
「ん、お願い。」
ドキドキしながら、彼の眼鏡をそっと取る。
…わ、眼鏡外した顔、初めて見た。
格好良い。
どっちも好き。
「ありがと。」
手元に視線を戻そうとした彼の腕に触れたら
ん?
って向けられた顔、もうちょっと見てたかったの。
「…今、私の顔、ハッキリ見えてますか?」
「いや、ぼけてる。」
「え、この距離でも?」
「ん。」
「…どこだとハッキリしますか?」
「んー、このくらいじゃないと。」
ぐっと詰められた距離に息を飲む。
至近距離で視線が絡み合った瞬間、本能的に感じたの。
あ、この人…私のこと、好きだ。
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作者名:余暇
| 作成日時:2024年9月7日 0時


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