http://綺麗な貴方と死体 ページ44
抱擁してたガキを解放した瞬間、背後に聞こえた足音に振り返る
「動くな。__公安警察だ」
銃をしっかり構えているのは喫茶店で笑顔を振り撒き、組織では情報屋として活動していたパツキン
「ご同行願おうか」
ワントーン低い声でライフルを下げる翡翠眼
「令状無しの家宅捜査__ガサ入れをさせてもらった。高田A、27歳。本名、桜木芽依」
「家宅では銀行の違う通帳を発見」
連々と言葉を並べる二人に視線を投げ掛けた
『パツキン、お前は怪しいと思ってたがやっぱりそっち側か。...と、お前は確か組織に居たよな。ライ、だったか。お前も警察なんだな』
噂で言うNOCという奴か。そうか、こいつらが
その場で立ち上がり二人の警察官を見据えて頭を下げた
『__お願いします。ジンさんから最後の依頼なんです
...この仕事だけは誰にも譲れない』
真剣さを孕んだ眼差しで訴えかければ二人が目配せをし、頷いた
「勿論あの幹部の体はこちらが貰い受ける。それに処理を行う際の監視も付けさせてもらう」
『勿論です』
交渉成立、と血だまりへ向きかけた足をガキの声によって止めた
「監視なら僕が引き受けるよ。だから安室さんと赤井さんは外して欲しい」
ガキのまさかの提案に怪訝に顔をしかめる警察二人
「コナン君にもしもの事があったら__」
「大丈夫。Aさんは危害を加える様な人じゃないよ」
一点の曇りも計算も無い笑みを浮かべるガキから顔を逸らす
「いいだろう」
「は...ちょっ、FBI。ふざけてるんですか?何かあった後では、」
「それでもぼうやがそう言うんだ。子供を信じてやるのが大人の役目だろう」
すっかり諭されたパツキンは渋々首を縦に振る
何も言わず去って行く二人の背中に頭を深々と下げた
**
『ご冥福を祈ります』
貴方の死に痕を私が消す
すっかり消えた血痕に手を合わせた
後ろには静かに見守るガキ
背中越しに口を開いた
『覚えてるか。お前に“人が死んでも何も思わないクズな人間になるなよ”って言った事』
「__覚えてるよ」
『...そうか』
私の両親は人殺しに躊躇も感情も無かったけれど
私だってそんな親が死んだ時は何も思わなかったんだ
『もう、人が死んでも何も思わない人間にはならないよ』
貴方が綺麗だと言う、その真意を確かめれば良かったなんて__そんなの野暮か
唯一この仕事を綺麗だと言ってくれた貴方はもうここには居ないのに
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紫苑(プロフ) - うぐぅ...こんな子供たちいたら胃に穴が開く...絶対...二次元だから良いけど() (2月13日 5時) (レス) @page14 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 号泣して枕びしょびしょなんですど (2月12日 1時) (レス) @page49 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
りと - おっと目頭が熱く…。白の心も黒の心も持ち、どちらの立場にも影響を受け、でも自分を突き通す夢主…カッコよすぎか??コナンとの関わりがめちゃ好き…お互いに隠し事があって、互いにそれを分かってるし何も言わないけど大切な存在となって…最高やな…お疲れ様です。 (2月2日 16時) (レス) @page50 id: 8e83563274 (このIDを非表示/違反報告)
たうふ(プロフ) - ジンと高田の最後にも納得がいきましたし、わざわざコナンの墓を立てるとかいう神エピソードを書いてくれてありがとうございます…泣きました。とても感動しました。素晴らしい作品を有難うございます!! (8月14日 1時) (レス) @page50 id: 8ce4de47eb (このIDを非表示/違反報告)
月無夜 蓮依乃(プロフ) - めっちゃいい話ですね…作ってくれてありがとうございます…個人的には最後一緒に死んでほしかったな… (2023年1月26日 2時) (レス) @page50 id: 6d50191cd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年5月12日 23時