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「A、ナナさんって何者？」
ナナさんから連絡を受けたユナオンニは
顔色を変えて、慌ててやってきた。
ただ、ナナさんについては私も知らない事が多い。
真っ赤なティントが似合って、
いつも真っ黒なブラックコーデで、
HYDEさんが大好き。
私と違ってコーヒーが飲めて、
同じ、日韓ハーフだということぐらい。
「来週、日本いくわよ。」
「・・・・え。」
「日本での活動早まりそう。」
「・・・韓国でもまだなのに、ですか？」
「そうね、でもいいチャンスよ。
ドラマの主題歌のオファーよ。」
「！！！」
「できれば出演もって。」
「・・・・・。」
「意識飛ばしてる場合じゃないわよ。」
「私、演技・・なんて・・。」
「演技というか、演奏して歌うっていう
本人役での出演ってところよ。」
オンニの口からでる言葉が信じられない。
私にそんな価値なんてないはずだ。
この事務所という期待値はいくらかあるにしても
いきなり大役すぎる。
ナナさんがいう、成功させる、という言葉。
その片鱗が見えた気がする。
「Aが歌っている動画をプロデューサーと
監督が見たらしいの、それで決まったって。」
「・・・・私・・なんか・が。」
「そんなこと言わないの。
Aが忙しいのは分かってるけど、
これはいいきっかけになると思うの。」
「・・・・・・。」
「というか、もう決定してる。
すでに話は上にもいってるみたいなの。」
「・・・・・・はい。」
２月に発売予定のミニアルバム。
５曲のうち、２曲の日本語バージョンが
同日配信限定でリリースされる。
その曲がタイアップされた、らしい。
色んな力が働いている。
そこに自分の実力は伴っていない気がする。
でも、もう動き出してしまった。
坂道を転がり落ちるように。
擦り切れて、粉々になるまでは
もう止まれない、のかもしれない。
＿＿＿＿＿逃げれない。
「オンニ、・・・私頑張るね。」
そういうとユナオンニは優しく笑ってくれた。
オンニたちを裏切るわけにはいかない。
握りしめたバックのなかでジャラっと音がした。
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.
.
嫌な匂いがする。
気配がする。
あの小さな部屋に閉じこもってた時。
感じていた「恐怖」が。
どこからか忍び寄ってくる。
左手の消えない痕をなぞる。
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作者名：V.V． | 作成日時：2018年6月18日 0時
