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08‐大切な人だから ページ8

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「君の名前も知りたいな」





全ての女性を虜にしてしまうような甘い声で囁かれては、仕事中だからと断ることができるはずもなく。ノータイムで反射的に「二階堂Aです」と答えていた。あ、咄嗟に旧姓を名乗っちゃった。まあいっか。





「A」





名前を呼ばれただけなのに、背中がくすぐったくなった。これは相当おモテになってきただろうな……。悟さん、恐るべし。

照れ隠しに咳払いをする。





「で、話を戻しますけど。悟さんが既婚者だと何かまずいんですか?」

「や、まずいっていうか、そのー……」





話の話題を切り替えれば、悟さんは頭をかいたりして挙動不審になる。

どう話すべきか、迷っている様子だった。
彼がこんな風に言い淀むのは珍しい。
いつも話すのが上手な人だなー、と感心していたから。


それでも辛抱強く待てば、悟さんはバツが悪そうに言った。





「……その、あまり妻とはうまくいってなくて」





おっと。
ちょっとプライベートに踏み込みすぎた気がする。
私と悟さんはあくまでただの店員と客だ。

ここは「まあどの家庭も色々ありますもんね」と軽く受け流すべきなのか。


うまいこと受け流す方法を探していると、不意に悟さんのあの言葉が頭を過った。





「僕が一番好きなケーキなんだ」






そうだ、悟さんは私にとってただの客じゃない。
大切なお客様第一号で、それで、……それで。

きちんと彼と向き合いたい。
胸の前でぎゅっと拳を握る。
覚悟を決めて告げる。





「もし1人で抱えきれないことがあれば、いつでも話してください」

「A……」





心臓をバクバク鳴らしながら「その、少しは役に立てるかもしれません」と続ける。





「私も結婚してるので」

「…………えぇっ!?」





悟さんの尋常じゃない叫び声にびくりと肩を揺らす。

悟さんは何にそんなに驚いてるんだ、と困惑する。私が結婚してるのそんな意外だったのかな……?


でも今の反応を見る限り、びっくりしているというよりは、ショックを受けている感じだ。

悟さんの後ろにがーん!という文字が浮かんでいる。





「A、結婚してるの……?」

「はい」





何故か悟さんは膝から崩れ落ちた。






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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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- ぱぅちさんの作品見たんですが今ハマってしまいました😁これからも他の作品を頑張ってください🙏👍 (11月4日 17時) (レス) @page37 id: 053afa639a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最近呪術廻戦の夢小説にハマったのですが、このお話、めっちゃ好きです!!ありがとうございました!! (6月30日 17時) (レス) @page36 id: c2b1544657 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 良い感じにお互いがすれ違っていて凄く素敵なストーリー構成でした! 恋をした所の描写を丁寧に書く事で読む内にどんどん世界観に引き込まれていきました。とても綺麗なお話をありがとうございました! (2022年2月2日 23時) (レス) id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ふぅさん» 今作では五条さんの一生懸命な片思いを描けたかなと思います!笑 こちらこそ、最後までお読みくださりありがとうございました…!😭☺️ (2022年1月1日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
ふぅ(プロフ) - 完結、お疲れ様でした。ずっと柔らかい雰囲気でとても好きなお話です。次回作も楽しみにしています! (2021年12月23日 23時) (レス) @page37 id: 56676c275e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぅち | 作成日時:2021年7月31日 22時

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