16-デート開始 ページ16
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契約結婚のタイムリミットが迫ってきている。
悟さんと出会ったのが結婚から半年後くらい。
それから、悟さんが常連になってくれて、
たまに定休日も試作品を食べもらえるようになって。
仮の結婚生活が終わるまで、あと1ヶ月。
ここでの暮らしも残り僅かとなっていた。
「……行くか」
ドレッサーの鏡で念入りに髪型や服のチェックをし、ようやく家を出る。今日は悟さんと映画を見る日だ。
夫以外と2人きりで出掛けるのは抵抗があった。
契約上の関係とは言え、やっぱり妻と夫なわけで。
でも、ここにいられるのも残り僅かだと思ったら、最後に思い出作りをするくらい許してもらえるじゃないかって、都合の良い言い訳をして。浮気をするのは契約違反でもはないし。
あとは純粋に、悟さんのことをもっと知りたいって思ったから。
待ち合わせ場所に行くと、悟さんは既に待ってくれていた。駅の広場で、スタイルと顔の良い彼は周囲からの注目を集めていて見つけやすかった。
小走りで彼の元へ駆け寄る。
「悟さん！すみません、お待たせしました」
「A♡ううん、僕が早く来ただけだから」
私が来たのを確認すると、悟さんの表情がサングラス越しでもわかるほどパァッと明るくなって、なんだかむずかゆい感覚。だって、来るだけでこんなに喜んでもらえるなんて。
「……悟さんて、なんか犬みたいですね」
「えー？そう？じゃ、Aがご主人様だね。ご主人様の言うことは、な〜んでも聞くよ。ワン！」
「映画って3時からでしたよね。少し時間ありますし、ちょっとこの辺ブラブラしますか？」
「え、めっちゃ無視するじゃん」
シュン、としながら「だね、この辺ブラブラしよ……」と言う悟さんの頭に垂れ下がった犬の耳がある錯覚がした。思わず「ははっ」と声を出して笑う。
「すみません、ちょっとからかいたくなって無視しちゃいました」
「もう……なにそれ、かわいいだけだし」
「え？」
「いや、こっちの話。行こっか！」
「はい」
隣を歩く彼の横顔をチラリと見て思う。
こんなに自然に笑えるのは悟さんといる時だけだ、と。
もっと彼のことを知りたい、なんて思う権利と時間はないのに。
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１ - ぱぅちさんの作品見たんですが今ハマってしまいました😁これからも他の作品を頑張ってください🙏👍 (11月4日 17時) (
レス) @page37 id: 053afa639a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最近呪術廻戦の夢小説にハマったのですが、このお話、めっちゃ好きです！！ありがとうございました！！ (6月30日 17時) (レス) @page36 id: c2b1544657 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 良い感じにお互いがすれ違っていて凄く素敵なストーリー構成でした! 恋をした所の描写を丁寧に書く事で読む内にどんどん世界観に引き込まれていきました。とても綺麗なお話をありがとうございました! (2022年2月2日 23時) (レス) id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ふぅさん» 今作では五条さんの一生懸命な片思いを描けたかなと思います！笑 こちらこそ、最後までお読みくださりありがとうございました…！😭☺️ (2022年1月1日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
ふぅ(プロフ) - 完結、お疲れ様でした。ずっと柔らかい雰囲気でとても好きなお話です。次回作も楽しみにしています！ (2021年12月23日 23時) (レス) @page37 id: 56676c275e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2021年7月31日 22時
