海の深さを知った２【ONE PIECE】

54-嘘だらけ ページ7

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シャチ


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Aの話はどこが本当で、どこが嘘だったのだろう。





「私は本当は観光で海に出たわけじゃありません。……行方不明の王女を探しに来たんです。目撃情報があったのであの島に滞在して捜索しましたが、見つかりませんでした」

「なんで葵が王女を探すんだ？葵は国の用心棒なのか？」

「いえ。私の国は小さくて、その分王族との距離も近いんので、私は普通に王女と仲が良くて。いなくなった王女が心配だから探しに来ただけです」





ペンギンの後を走りながら、過去の会話を思い出していた。

辻褄は合っているといると思う。観光で例の島に来ていたわけじゃないっていうのも、小さな島だから王女と仲が良いっていうのも。一応、説得力はあったから、おれ達は彼女を信じたんだ。


けど、それも全部嘘だったとしたら。





「やっぱりA様は誠実な方だったんだな」

「ああ。父親とは違うな。きちんと約束を守って帰ってきてくれたんだから」





いつの間にか森を抜けていたらしい。
この島に住んでいる男2人の会話が聞こえてきた。

ていうか、今Aって言った？
Aの名前が出て気になったのはペンギンも同じだったようだ。足を止めてこっちを見た。おれ達は何も言わずに頷き合う。

息を潜めて会話を盗み聞きすることに決めた。





「これで当分の間はこの島も安泰か」

「そうだな、例の海賊もお城に投獄されているらしいし、何事もなく海軍が来てくれれば」

「しかしA様も随分と立派なお方になられたもんだ。海賊の船に自ら乗り込んで連れてくるなんて、並大抵の人間にはできたことじゃない」





会話が進めば進むほど、心臓が嫌な風に騒めいてく。

……どういうこと？
海賊の船に自ら乗り込んで連れてくる？
それに、例の海賊が捕まってる？まさかキャプテン？

次々と湧いてくる疑問は、どれも信じられないものばかりで。


彼女との綺麗な思い出が、バラバラに砕け散っていく。

「ひとまずその城を目指そう」と小声で言うペンギンに同意し、半ば放心状態のまま足を進めようとすると、村人からまたもや気になるワードが飛び出てきた。





「この国の将来はA王女に任せるのが一番だな」





えっ 王女？






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