16-キスの真実 ページ16
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待って、
話が噛み合わない。
付き合ってるって。
付き合ってるって言ったよね、今。
多分聞き間違いじゃない。
…
やっぱり意味が分からない。
目をパチパチと瞬かせて、「誰と誰が、付き合ってるの?」と聞き返す。伏黒くんは今更何言ってんだよとでも言いたげに「はぁ?」と不服そうな顔をする。
「俺とAだけど」
「い、いつから……?」
「……初めてキスした日だろ」
「……?」
あの日。
今でも鮮明に覚えているあの日。
思い返してみても告白した記憶はないし、告白された記憶もない。ただキスをしたっていう事実があるだけ。
伏黒くんは淡々と続ける。
「お前、キスした時『嫌じゃない』って言っただろ。嫌じゃない=好きって解釈したんだけど、ちげぇの?」
「そ、それはそうだけど……!でも付き合うなら告白してOKしてっていう順序があるじゃん!」
そういうことか……!
あのキスは伏黒くんなりの告白だったわけで。
キスを私が嫌だと言わなかったから、それで告白を承諾したと思ったわけだ。
謎は全て解けた……。
状況をようやく把握した私に、伏黒くんは「…マジかよ」と頬を引き攣らせる。
「つーことは、お前、俺と付き合ってる自覚なかったのか?」
「伏黒くんが言葉で言ってくれないからでしょ……!」
「彼氏でも何でもねぇ奴とキスしまくってたわけ?」
「ちょ、言い方!……別に誰でもよかったわけじゃなくて、伏黒くんだから受け入れただけだよ」
遠回しに好意を伝えれば、伏黒くんはやや目を見開いて耳を赤く染める。
行動で示してくれるのも嬉しいけど、やっぱり言葉で表現するのが大切だと思うんだ。
伏黒くんの手に自分の手を重ねると、ピクッと彼の手が照れた。
「もしよければ、……今、言って欲しいな」
「っ……」
ハッと息を呑む音がする。
告白よりも先にキスをしていた私達。
口下手な彼の精一杯の告白だったんだ。
でもやっぱり貴方の声で聞かせて欲しい。
伏黒くんの手に指を絡めて、背中を押す。
伏黒くんは覚悟を決めたような真剣な瞳で、やっと口を開いた。
「Aが好きだ。俺と付き合ってください」
返事は1つしかない。
突然キスしてきた伏黒くんが彼氏面してくる
______fin.
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しろりん(プロフ) - 私もこのお話大好きで、何度も読み返してるんですが…ちょこっとだけ、おまけ程度に夢主ちゃんが恵くんの事を『伏黒くん』じゃなくて名前で呼んでるお話読みたいです…2年前に完結してますけど…気が向いたらでいいので…。😳 (2023年4月25日 17時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
ささき(プロフ) - とても楽しく読ませて頂きました!これからも応援しています。 (2021年2月26日 18時) (レス) id: 0a7371db4e (このIDを非表示/違反報告)
夜空の星 - 最高でした!新作も楽しんで読ませてもらってます! (2021年2月21日 0時) (レス) id: ab019124cf (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - かえさん» 暖かすぎるコメント頂けて嬉しいです〜!( ; ; )シリーズ化は考えていませんでしたが、書くの楽しそうですね!もしネタが浮かんだら書いてみようと思います!素敵なご意見ありがとうございます(^^) それと最後までお読みくださりありがとうございました! (2021年2月18日 20時) (レス) id: 4a1d1da0e2 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - 本当に面白かったです!!毎日更新されるの今か今かと楽しみにしてました(笑)ぜひぜひ彼氏面してくるをシリーズ化して欲しいです、、!五条先生や他の人もみてみたい、、! (2021年2月18日 0時) (レス) id: 26e6a6e1c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぅち | 作成日時:2021年2月11日 14時