40-悪党になりきれない男 ページ40
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「船長、らしくねェっすね。見ず知らずの奴を助けてやるなんて」
「……るせェ」
んなこと、おれが一番よく分かってる。
例の倒れてた男の処置は終わったので、Aに男が目覚めるまでの看病を任せて食堂を訪れた。そうしたらシャチがいたから、珈琲を注がせた。
湯気に乗って鼻腔に届く珈琲の香ばしい匂い。
まだ熱そうなうちに啜る。
向かい側に座るシャチは性懲りも無く話しかけてくる。
「……なーんか、雰囲気変わりましたよね。Aと何かありました？」
「珈琲くらい静かに飲ませろ」
コーヒーカップを片手に余計な詮索はするなと睨みつければ、シャチは怯えたように口を閉じた。
何もない、Aとは。
ただおれの気持ちが変わっただけ。
沈黙の間に珈琲を飲み干し、空になったカップを置く。そのタイミングを見計らったシャチが、性懲りも無くまた言う。
「おれ達、一時期Aのこと疑って色々と調べてみたんですけど」
シャチの言うおれ達とは、こいつとペンギンとベポのことだろう。
「結局、彼女は白でしたね。本当に良い子で、このまま仲間にしたいくらいです」
「…」
「船長も、同じ気持ちでしょう？」
珍しくこっちの心を見透かしてるようなシャチに、すぐに返事ができなかった。
このまま連れて行ってしまいたい。
仲間にしたい。
そして、……。
それを言葉にしてしまえば、きっともう引き返せなくなる。
海賊なら欲しいものは力づくで奪う。
だが、彼女の気持ちを無下にはしたくない。
故郷に帰りたいと切実に訴えた彼女の気持ちを尊重したい。
困ったことに、Aの前ではただの悪党ではいられないのだ。
「お前がどう考えていようが、アイツは故郷に帰す。これは決定事項だ」
「またそんなこと言って、」
「おれが決めたことだ。反論は受け付けない」
「でも、……」
シャチが苦し紛れに言い返そうとした刹那。
「と、トラファルガーさん！！」
慌てた声と共に姿を現したAに視線が集中する。
「目を覚ましました……！」
主語が抜けているが何を伝えたいのかは理解した。
空のマグカップはそのままに、「すぐ行く」と席を立つ。早歩きするおれの後ろをAが小走りで追いかける。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
