27-作られた運命 ページ27
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シャチ
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それから、この船でのAの様子を観察した。
「……ペンギン、何か発見したか？」
「いいや。なーんにも」
「だよなぁ」
ペンギンはお手上げとでも言うように両手を広げて肩を竦める。無人島にいる数日間で観察してみた結果、手応えは全くなし。おれ達の考え過ぎか？と思えるほど、Aは尻尾を出さなかった。
「一応、Aが使ってる部屋も調べてみたけど、怪しいものは何もなかったよ」
ペンギンは「あァ、おれも確認したよ」と返事をした。やっぱり考えることは同じか。
もし、Aが海軍やその他の組織と繋がっているとしたら、おれ達の情報を流すために電伝虫を隠し持っているはずだ。そして、それがあるとしたら自分の部屋。
しかしこの詮索も虚しく、Aの部屋からは何も出てこなかった。
限りしなく白に近い。
だからおれとしてはホッとしてるっていうか……
Aといるのは楽しいし、癒されるし、何よりあの笑顔が偽物だったなんて思いたくない。
やっぱ思い過ごしだったな、と同意を求めて笑おうとした時だった。
「……Aの部屋には、本当に何もなかった」
「？うん、だからアイツは……」
「おかしいと思わないか？アイツは、観光であの島に来ていると言っていたはずだ」
何を言っている？訳が分からない。
変な緊張感が走り、困惑しているおれを置き去りにして、ペンギンは自分の考えを述べる。
「観光で来ていたなら、もっと荷物があっていいはず。なのにあの部屋には、必要最低限の……いや、最低限のものすら揃っていなかった」
「！……」
言葉を失った。
言われてみれば確かに、と納得できたからだ。
あの部屋には荷物が少なすぎる。現に彼女は着る服の用意すらままならず、この船にあった白いツナギを着ている。
観光で来ていたのならば、少なくとも数日分の服の替えは持っているはず。
ここで一つの仮説が立つ。
「Aは、……元々、この船に乗る気だった？」
何か理由があってすぐに故郷を出ないといけない状況に立たされて、……いや、ここまでくると辿り着く場所が本当に故郷であるのかさえ疑わしい。
ペンギンは少しの沈黙の後、口を開いた。
「“この船”というよりは“海賊船”にかな……」
果たしてAとの出会いは偶然だったのか、
それとも必然だったのか。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
