24-理不尽な怒り ページ24
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「すごい……こんなに手際良くできるなんて」
「まァ、医者だからな」
「死の外科医……」
Aは包帯を巻いた箇所を感心したように眺め、ポツリとおれの異名を呟いた。
誰がその異名を考え出したのかは知らないが、まあ合っているとは思う。この手は人の命を救う時もあれば、奪う時だってある。
「手当て、ありがとうございます」
「……ん、」
自然と彼女の包帯の巻かれた腕に目がいく。
柔らかくて、細い腕。
必要以上の筋肉なんてついていない、おそらく争いや揉め事を知らないであろう腕。
Aはきっと、そんな世界で生きてきたのだ。
自分の手で命を奪う必要のない世界で。
そんな人間に、狩りをさせてしまった。
醜い血を流させてしまった。
「！？…ロー、さん……？」
Aの怪我していない方の肩に顔を埋める。
理由はわからない。
が、無性に触れたくなってしまった。
こっちに伝染しそうな温かさ、
上から聞こえてくる息遣いは動揺してるのか途切れ途切れで。
こんな怪我、したことないだろうに。
それでもAは笑顔で帰ってきた。
怪我なんて気にせず、その笑顔は目的を達成した喜びに満ちていて。
いつもはただヘラヘラしているだけの鬱陶しい笑顔が、この時ばかりは心を掴んで離さなかった。
ぐつぐつとマグマのように胸に留まる熱い感情。
激しく湧き上がりそうな熱を、頭の片隅に残る理性で押し込める。
「あのッ……ローさん？」
「…」
「どうしたんですか？」
先程まで驚いた様子のAはもう、冷静さを取り戻したようだった。落ち着いた声で言った。
不意にこういうことされてもすぐに冷静になる彼女が、取り繕えないくらい動揺する瞬間を見てみたい衝動に駆られた。
前屈みだった体を起こし、彼女と目を合わせる。
そしてその後頭部に手を添えて固定する。
目の前にある瞳が微かに揺れた。
そのままゆっくり、ゆっくりと顔を近づけていく。
彼女の反応を窺いながら。
しかし鼻先が触れるくらいにまで近づいても、Aは怯むことも動揺することもなく、真っ直ぐにこっちを射抜いていた。
期待を裏切る反応にイラッとし、顔を離す。
「……チッ」
舌打ちをし、面白くねェ、と距離を取った。
お前の行動に心を乱されてるのは、
おれだけなのかよ。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
