19-これじゃない ページ19
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さすがに無人島に女一人置いていくわけにはいかない。
そう、これは普通の感覚だ。
だから仕方なくAをもう一つ先の島まで乗せてやることにした。
決しておれ個人の感情で、とかそんなのではない。
「ローさんローさん！！」
ノックをしながら忙しなく叫ぶA。
面倒な奴が来たな、と思うも何故か気分はそんなに下がらなかった。入れ、と言えば遠慮なく扉を勢いよく開けた。
「シャチさんから聞きました！もう一つ先の島まで連れてってくださるって！」
「あァ」
「ありがとうございます！……本当に」
「もういい、お前の礼は聞き飽きた」
「はは、飽きたって何度でも聞いてもらいますよー」
短く笑う声とやけにテンションが高い。
それにいつもの貼り付けたような笑みではなく、心の底から喜びを表しているような。
……悪くはないと思ってしまう。
こいつの、Aの素の表情を見られることが。
いや、おれは何を考えてんだ。
らしくねェ、こんなの。
Aと出会ってからというもの、調子が狂ってばかりだ。
邪念を追い払うように咳払いをし、腕を組んで話を切り出した。
「島に着いたらお前にもやってもらうことがある」
「はい！何なりとお申し付けください！」
「食糧を確保してこい。植物でも、動物でも」
「え、」
「もちろん一人でとは言わねェ。何人かのグループに入ってだ」
「……私にできるでしょうか」
普段はヘラヘラしてすぐに「お任せください！」と敬礼ポーズを取ったりする奴が、珍しくネガティブな発言をしたので、小さく目を見開く。
不安げにこちらを見る瞳は、曇っていて。
これじゃない。
おれが興味を持った目は、……故郷に連れて行ってやってもいいと思った目は、んな迷いのあるものじゃない。
おれが惹かれたのは、
迷いなんてすぐに打ち砕く強い意志を持った目だ。
……これじゃない。
そう思った途端、遅れてやってくる苛立ち。
ぶつけようのない怒りを拳に込めて、固く握る。
「できるできないじゃない。やるかやらないかだ」
「…」
おれはこいつのことを買い被っていたのかもしれない。所詮はこいつもただの小娘だったわけか。
「やれ。食料調達は海を渡っていく上で一番大切なことだ」
Aは俯き気味に「はい」と蚊の鳴くような声で答えた。
カッと頭に血がのぼる。だから、そうじゃねェだろ。おれが、一緒にいてもいいと思ったお前は。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
