13-それは優しさ ページ13
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特に苦戦することも誰かが重傷を負うこともなく、戦いには勝利した。
奴らが惨めに倒れている船から、クルーに食料やら金品やらを運び出させている途中、誰が呼んだのか知らないがAの姿もあって。Aもその作業を手伝っていた。
おれの船のクルーである証の、白いツナギを着て。
ぱっと見はもう仲間でしかない。
それほど、彼女はここに馴染んでいる。
海賊に必要な才能があるわけでも、大した特技があるけでもない。では何故、彼女はおれの部下達に認められているのか。
答えはおそらく一つ。
Aの性格だ。
いつでも笑顔を絶やさず、常に気を張っているのかどこからともなく現れて仕事を手伝ってくれる。そんな彼女の性格に魅了されてしまったわけだ。
情けないことに。
敵船から大体のものを運び終えると、航海を再開する。
それに伴って医務室で、切り傷などの軽傷を負ってしまったクルーの手当てをする。
1時間くらいかけて全員の手当てを完了すると、忘れた頃に襲ってくる睡魔。
帽子をテーブルに置き、背もたれにのしかかる。
無意識に溢れる欠伸に、もう限界だと察する。
そのまま腕を組んで仮眠をとることにした。
「せんちょー、起きてくださいよ」
「…………あァ？」
「あ、やっぱ寝起き悪いっすね……」
気持ち良く寝ているところを起こされ、気分は最悪だ。寝起きの開かない瞳で声の主を睨みつけるように視界に入れる。
シャチだった。
「夕飯の時間ですよ。もうみんな揃ってます」
「……先に食ってろ。後から行く」
「お腹空いてないんですか？」
「今は気分じゃねェ」
「全く……」とシャチは呆れたように肩を竦めた。
ふと視線をずらせば、自分の肩に毛布が掛かっているのに気がついた。おれは自分ではこんなの掛けてねェはずだ。不思議に思い、毛布を手に取る。
「シャチが持ってきたのか、これ」
「え？いえ、おれは今来たとこですし」
「？そうか」
じゃあ誰が、と悩みを深めるおれの心を察したように「あ！」とシャチが何か知ってるような声を上げた。
「多分、Aじゃないですかね？」
「アイツが？」
「はい。実は少し前にAがここに入るのを見たんですよ。それに、敵船から色んなものを運びだしてる途中も『トラファルガーさん、ちょっと寝不足気味みたいですけど大丈夫でしょうか』みたいな心配してたんで」
「…」
自然と毛布を握る手の力が強まった。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
